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新たなデータの金脈?衛星写真の解析でAIが投資機会を見出す

ZUU online 5/9(火) 12:10配信

特定の小売チェーンに属するスーパーマーケットの店舗一つひとつの混雑具合が分かれば、チェーンの業績の予測に役立つのではないだろうか。化石燃料備蓄の増減が大まかにでも把握できれば、原油取引の判断材料の一つになるのではないだろうか。あるいはその年の穀物の収穫量が掴めれば、その売買にも生活防衛にも役立つのではないだろうか。

近年、ディープラーニングの応用など、激的な進化を見せている人工知能(AI)は、そんな希望にも宇宙空間や空高くから撮影した画像の分析で答えてくれそうだ。

2012年にはAIの画像分析で「自動的に猫の画像を見分ける」ことが可能になったとして注目が集まった。それから、さらに進歩を遂げている画像解析の動向を追う。

■ウォルマートなど小売りチェーンの業績を予測する試みも

航空写真や人工衛星から撮影した写真へコンピューターの処理能力を適用する構想は、かねてから掲げられていた。特に、人工衛星などが撮影した画像については、大手小売チェーンの売上高と駐車場にある自動車の台数の相関性を見出す鍵となるのではないかとの見方も存在していた。

そして、近年のAI技術の進歩により、詳細な画像分析が可能になったことで、衛星写真などの本格的な活用に注目が集まっているという。

実際に機械学習を用いて、画像の中の物体を数えることのできるアルゴリズムを開発している米国のOrbital Insight社など、注目のベンチャービジネス(VB)も登場してきている。Orbital Insight社の提供する技術では自動車だけではなく、ビルや飛行機、道路などを数えることもでき、多様な応用先がありそうだ。

AIによる画像分析の技術が発達しデータとしての価値が向上するにつれて、衛星を打ち上げて画像データを取得しにいくような企業の動きもある。背景にあるのは、人工衛星を打ち上げるコストの大幅な低下だ。

米サンフランシスコに拠点を置き、NASAのエンジニアたちによって立ち上げられたPlanet社は、そうした企業の最たる例だろう。88基の小型人工衛星を打ち上げて相互に連携させることで、詳細な情報の抽出に有用なデータベースを構築している。これらにOrbital Insight社のような企業が提供する技術を組み合わせれば、可能性はさらに広がる。

現在では、ウォルマートをはじめとする小売りチェーンの店舗混雑状況を分析する取組が、一層進んでいるようだ。

■オイル備蓄量の増減も推測できるAIの画像分析

その他に試みられているのが、石油備蓄量の推測だ。従来から、世界中の石油備蓄タンクの航空写真を撮り、備蓄量を分析する取り組みは行われてきた。実はタンクに貯蔵されている石油の量は、外観から推測できる。そのカギを握るのが蓋の部分だ。タンク内のオイルの量に基づいて、内部蓋は上下に動くため、貯蔵タンク本体との間にできる影に違いが出るという。影の形状から、それぞれのタンクに貯蔵されている石油の量を推測できるのだ。

もちろん、データが揃っていればAIで解析することもできる。現在では、AIによる画像認識処理の方法である「畳み込みニューラルネットワーク」と呼ばれる手法を用いた画像分析で、タンクにどれだけの石油が蓄えられているか見分けられるという。

■専門家の語る画像解析技術のインパクト

ニューヨークの証券会社Convergex Groupのチーフ・マーケット・ストラテジスト、Nicholas Colas氏は、人工衛星の撮影画像の経済活動の分析への応用について「非常に稀な、経済調査のあり方を大きく変革する力を持ったゲームチェンジャーになるだろう」と話す。

こうしたアプローチの他にも、人工衛星から撮影した画像を分析し農作物の収穫量を予測したり、貧困地域を見つけ出したりするノウハウも開発されている。さらに広い分野で、AIの画像分析がその影響を拡大させるだろう。(提供:MUFG Innovation Hub)

最終更新:5/9(火) 12:10

ZUU online