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コレ1枚で分かる「IoTがビジネスフレームワークであること」

5/9(火) 11:58配信

ITmedia エンタープライズ

●テクノロジーを生かしたビジネスフレームワーク

 「うちもIoTで何かできないのか?」――そんな社長のひと言に、さてどうしたものかと頭を抱えてはいないでしょうか。そこでIoTとは何かを調べてはみたものの、はっきりとした定義は見つかりません。そもそも何がIoTなのかがよく分かりません。それも当然のことで、IoTというテクノロジーはないのです。

【図解】コレ1枚で分かる「IoTがビジネスフレームワークであること」

「IoTとは、デジタルデータを活用したビジネス課題を解決するためのフレームワーク」

 このように捉えてみてはいかがでしょう。

 これまでは人間の知見に頼って判断していたところを、センサーで集めたデータでリアルタイムに「事実」を捉え、機械学習や統計的な分析で最適解を求めるやり方に置き換えようというものです。そして、そこで得られた最適解でアプリケーションを動かし、現実世界にサービスを提供します。その結果生じた変化が再びセンサーによってデジタルデータとして集められます。

 いうなれば、現実世界とサイバー世界が一体となって、リアルタイムで改善活動を繰り返しているような仕組みが、IoTなのです。このような仕組みは、サイバーフィジカルシステム(Cyber-Physical System)とも呼ばれています。

 このように捉えると、IoTといわれるものが、さまざまなテクノロジーの組み合せによって実現することが分かります。また、どのようなビジネス課題を解決するかによって、使われるテクノロジーの組み合せはまるで違ったものになります。

 例えば土木工事の自動化サービスを考えれば、次のような組み合せになるでしょう。

○解決したいビジネス課題

・土木工事需要の拡大
・熟練作業員の高齢化
・困難を極める若者人材確保

○データ収集

・ドローンによる工事現場の空中撮影(カメラ)
・建設機械の高精度位置情報(GPS)
・デジタル化された施工情報(3次元CADなど)

○データ解析

・平面画像から3次元立体図面を合成
・土量分析・作業分析
・工程・工期シミュレーション

○データ活用

・建設機械の自動制御・作業支援
・工程変更支援
・ドローン測量により進捗把握

 ビル設備管理サービスになれば、この組み合せは変わり、自律走行車になれば、それもまた違うものになります。どのようなデータを集めたいかにより、使うセンサーも方法も変わります。何を知りたいかにより、解析のためのアルゴリズも変わります。当然、アプリケーションサービスもさまざまです。

 このように見ていくと、「IoT=テクノロジー」と捉えることには違和感を覚えざるを得ません。「IoT=テクノロジーを生かしたビジネスフレームワーク」と言い換えてみてはどうでしょう。

●IoTのビジネスレイヤーに見る2つの可能性

 この視点に立つと、IoTには2つのビジネスの可能性が見えてきます。1つは、IoTというビジネスフレームワークを実現するためのプラットフォームや部品となるソフトウェア/ハードウェアを提供するビジネス。もう1つは、IoTというビジネスフレームワークに基づくアプリケーションサービスの提供です。

 前者はデバイスの認証やデータの管理・保管、分析サービスの提供などのプラットフォーム、LPWAなどの通信回線、センサーや組み込みモジュールなどのハードウェアとなります。この場合は、アプリケーション開発やサーズ提供者が顧客となります。

 後者は、土木工事の自動化サービスやビル設備管理サービス、ジェットエンジンのレンタルサービスなどとなります。この場合は、自らがサービス事業者となり、顧客はそのサービスの利用者となります。

 サービスを開発するビジネス、つまり従来のシステムインテグレーションもビジネスにはなります。しかし、次の点で従来のシステムインテグレーションとは異なります。

・IoTのフレームワークでビジネスを開発するお客さま、つまり事業部門が顧客となること
・これまでにはないビジネスの仕組みを作るわけですから、お客さまの要求通りにシステムを作ることはできず、お客さまと一緒になって、何をするかを考えなければならないこと
・サービスの提供期間を通じて事業環境の変化に臨機応変に対応し、お客さまの事業の成果に直接貢献するための取り組みが必要になること

 「うちもIoTで何かできないのか?」――という“天の声”にどのように応えようというのでしょうか。そのあたりから考えてみる必要がありそうです。