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世界経済の悲観論は後退、内向き志向に「未来はない」=日銀総裁

ロイター 5/9(火) 17:13配信

[東京 9日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は9日、都内で講演し、世界経済の持ち直しが続く中で、世界的な金融危機以降に広がったペシミズム(悲観論)は後退しているとの認識を示した。欧米で強まりをみせている保護主義的な動きに対しては、「内向き志向に明るい未来はない」とけん制した。

黒田総裁は、リーマンショック以降の世界的な金融危機から9年が経過し、国際的な金融システム安定への取り組みを含めた主要国の政策対応にも支えられ、世界経済は「調整局面を脱する自律的なモメンタムを獲得しつつある」と評価した。

「長期停滞論」や「低成長の罠」などの言葉が示すように、世界経済の減速が続く中で広がってきた「グローバル金融危機以降のペシミズム」は、「明らかに後退してきている」と指摘。世界的に「企業や消費者のマインドは改善方向にあり、ペシミズムの連鎖とも言うべき状況はほぼ解消されている」との認識を示した。

そのうえで、米トランプ政権が掲げる経済政策など「景気浮揚に向けたポリシーミックスのあり方や経済政策の新たなかたちを巡る議論」について、「企業や家計のセンチメントにも何がしかポジティブな影響を与えているとすれば、率直に評価してよい面もある」と語った。

一方、トランプ大統領の貿易政策に関する発言や欧州の政治情勢など、欧米では保護主義的な動きも強まりつつある。

これに対して総裁は「グローバル化に背を向けた内向き志向の動きに明るい未来があるとは考えられない」と強調。反グローバル化の動きなど「不確実性は行き過ぎた楽観論や慢心をけん制する一種のブレーキの役割がある」としながら、グローバルな金融システムの安定性を維持するには「各国が自国の利害を超えた広い視野に立って協力・協調を行うことが必要だ」と訴えた。

また総裁は、新興国のドル建て債務の問題を世界経済のぜい弱性の1つにあげた。世界的な金融緩和環境の下で「新興国はドル建て債務を積み上げてきた」とし、米国が利上げ路線を進める中で「金利負担の増大と為替レートの減価という2つの側面から、新興国の債務動向(debt dynamics)に注意を払っておく必要がある」と語った。

(伊藤純夫)

最終更新:5/9(火) 17:13

ロイター