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豪政府、4年以内に財政収支を黒字転換へ 多国籍企業や銀行に増税

ロイター 5/9(火) 20:19配信

[キャンベラ 9日 ロイター] - オーストラリア政府は9日発表した予算案で、4年以内に財政収支を小幅ながら黒字に転換させる方針を示した。豪州は10年以上、財政赤字が続いており、トリプルAの格付けに対する影響が懸念されている。

自由党が率いる連立政権はこの日、主要な鉄道や幹線道路の開発プロジェクトの急速な進展や、過熱化した不動産市場での住宅購入者に対するある程度の便宜、海外の多国籍企業や国内の収益性の高い主要銀行に対しての増税などを発表した。

モリソン財務相は、2020/21年度の財政収支を74億豪ドルの黒字に転換させると表明。昨年12月に示した10億8000万豪ドルへさらに上乗せした。

ただ、2017/18年度については294億豪ドルの赤字になるとした。上院で野党が、福祉支給制度の改革を含む歳出削減案の法制化を拒否したためだ。昨年12月時点では287億豪ドルの赤字を見込んでいた。

財務相は予算案公表前の記者会見で「格付会社からの問題提起については注意深く耳を傾けた」と言明。S&Pグローバル・レーティングスやフィッチ・レーティングス、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、財政を均衡化できないことで、10数カ国にしか付与されていないトリプルAを豪州が維持できないリスクにさらされると警告していた。

財務相は「わが国は歳入の範囲内で生活しなければならない。誠実な予算案だ」と述べ、「前向きに受け止められるだろう。ただ、最終的に判断するのはあくまで格付会社だ」と語った。

1兆7000億豪ドル規模の豪経済は、世界的な金融危機以来、他の多くの先進国をアウトパフォームしてきた。ただ最近数年間は、富の大半を裏打ちしてきた鉱業投資ブームの終焉(しゅうえん)による影響に苦慮している。

財務相によると、政府は10億豪ドル規模の「国民住宅インフラ機関」を設立し、住宅の初回購入者が節約した資金を年金基金口座へ貯蓄できるようにし、税率をより有利な水準とした。

オーストラリア準備銀行(RBA、豪中央銀行)は2日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを過去最低の1.50%に据え置くことを決定。シドニーとメルボルンを中心とする不動産市場の過熱化で融資が増大することに懸念を示した。

国民にアピールする可能性が高い施策としては、規制に違反した銀行への罰金を引き上げたほか、違法行為を行った銀行幹部への処罰をより厳格化した。

今後4年以内には、外国人労働者への課税で12億豪ドルの歳入を見込む。これについては国民の間で激しい議論の的となっており、ターンブル首相は今年「豪州での仕事は豪州人のため」と発言した。

予算案では、17/18年度の実質国内総生産(GDP)の伸びを2.75%、20/21年度については3%に加速すると見込んだ。RBAは18年半ば―19年6月を2.75―3.75%と予想している。

17/18年度の失業率については5.75%と予想。現在の1年1カ月ぶり高水準である5.9%から低下するとした。消費者物価指数(CPI)は2%とし、20/21年までに2.5%へ上昇する見込みだという。賃金の伸びが過去最低のペースに鈍化していることから、基調インフレ率はRBAの目標である2―3%を下回ると予想した。

財務相はインフラ基金などに数年間で750億豪ドルを拠出する計画。内訳は国有鉄道計画に100億豪ドル、メルボルン―ブリスベーン間の鉄道に84億豪ドル、シドニーの第2国際空港建設などに53億豪ドルとなっている。

*内容を追加して再送します。

最終更新:5/9(火) 21:07

ロイター