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5分で設定、測定値の遠隔モニタリングシステム

5/9(火) 22:10配信

EE Times Japan

■5分で設定できる遠隔モニタリングシステム

 日置電機は2017年4月25日、計測器の情報を遠隔でモニタリングできる「GENNECT Remote Basic(ジェネクト・リモート・ベーシック)」を発表した。遠隔地に設置した計測器の測定値を、クラウドサーバを介してPCやスマートフォンで確認できるサービスだ。同年5月に発売する。

【「従来のIoT(モノのインターネット)サービスと、GENNECT Remote Basicの違い」などその他の画像はこちらへ】

 測定器やセンサーのデータはゲートウェイに送信され、3G(第3世代移動通信)の携帯電話回線でクラウドにアップされる。これらのデータはWebブラウザ上で確認できるので、インターネットに接続したPCやスマートフォンがあれば、いつでもどこでもデータを確認できる。あらかじめ設定した閾(しきい)値を超えた場合にメールでアラートを送信するといったことも可能だ。測定値を1分間隔で記録し、CSV形式で出力したり、複数のゲートウェイに送られた測定値を一元管理したりする「遠隔ロギング機能」も備えている。

 GENNECT Remote Basicの最大の特徴は、測定値の遠隔モニタリングに必要な「ゲートウェイ」「携帯電話回線」「クラウド」の要素を全て、日置電機がパッケージとして提供する点である。個々の要素としては、アットマークテクノのゲートウェイ、ユニアデックスのクラウドプラットフォーム、ソラコムの携帯電話回線を採用している。ソラコムは、NTTドコモの回線を利用したMVNO(仮想移動体通信事業者)である。

 ソラコムの閉域ネットワークを利用し、クラウドにデータを転送する際は暗号化する。クラウドにはWebブラウザからアクセスするが、その際も通信は全て暗号化する。日置電機の技術2部 技術9課長を務める降旗佳範氏は、「GENNECT Remote Basicは、社内LANとは完全に隔離されたネットワークになるので、高い安全性を実現できる」と説明する。「市場調査を重ねて分かってきたことだが、(GENNECT Remote Basicを使う際に)社内LANに接続する必要がない、という点が高く評価されているようだ」(同氏)

 GENNECT Remote Basicのスターターセット「SF4101」に含まれるのは、SIMカードを搭載したゲートウェイ、ACアダプター、LANケーブル。これだけである。これらを計測器に接続して電源を入れれば、わずか5分足らずでセットアップが完了する。

 スターターセットの価格は、クラウドの使用料1カ月分が付いて、9万9800円(税別)。クラウド使用料は1カ月分が5800円で、12カ月分が6万8000円である(いずれも税別)。

 GENNECT Remote Basicに対応する測定器は、現時点でロガーや電力アナライザーなど5種類*)だ。対応機種は順次、追加していく。1台のゲートウェイには最大32チャンネルを接続できる。ゲートウェイのLANポートは1個だが、ハブを使えば8台まで接続が可能だ。4チャンネルの機器を8台接続する(4チャンネル×8台=32チャンネル)といった具合だ。ゲートウェイは追加できるので、2台使えば64チャンネルまで接続できる。

*)メモリハイロガー「LR8400」「LR8401」「LR8402」、ワイヤレスロギングステーション「LR8410」、ワイヤレス熱流ロガー「LR8416」、電源品質アナライザー「PQ3100」、クランプオンパワーロガー「PW3360-10」「同11」「PW3365-10」である。

■遠隔モニタリングに必要なシステムを一気通貫で

 GENNECT Remote Basicを開発するに当たり、日置電機は「計測器に加えて、ゲートウェイから携帯電話回線、クラウドまでをパッケージとして提供すること」に、とにかくこだわったという。降旗氏は、「現時点で、ここまで一気通貫で提供する計測器メーカーは、他にないのではないか」と強調する。

 「測定値を遠隔からモニタリングしたいというニーズは大きい」と降旗氏は話す。計測器が遠隔地に設置されている場合、その場所に行くだけでも時間がかかる。さらに、客先の工場に設置している場合など、測定値を確認するには工場に入る許可を取らなくてはいけないケースもある。こうした背景から、時間と手間を減らすために、インターネット経由で測定値をモニタリングするシステムの導入を検討するメーカーは多いと降旗氏は続ける。

 だが、いざ、システムを導入しようとすると、大きな壁にぶつかる。ゲートウェイや携帯電話回線、クラウドなど、遠隔モニタリングに必要な要素が全て別々の会社から提供されていたり、クラウドとゲートウェイ間の通信プロトコルや、ゲートウェイと測定器の間の通信コマンドなどが異なっていたりするのである。「しかもクラウドや携帯電話回線は従量課金制が多いので、現場の部門にとっては予算を申請しにくい。その上、プラン変更などの手続きにも時間がかかる」(降旗氏)

 システムを構築する要素だけがそろっていても、それらを組み合わせて、実際にシステムを構築することができなければ意味はない。降旗氏は「エンジンやモーター、シャシーなど、クルマの部品を全て購入しても、クルマが作れるわけではない。それと同じだ」と述べる。しかも、仮にシステムを構築できるとしても、少なくとも数百万円規模の予算と、数カ月単位の開発期間が必要になる。「それならば、計測器メーカーである日置電機が、遠隔計測の新しいプラットフォームを作ればいいのではないか」――。そう考えたことが、GENNECT Remote Basicの開発につながったという。

 「GENNECT」は、「現場(GENba)」と「つなぐ(conNECT)」を組み合わせた、日置電機の登録商標だ。GENNECTシリーズとして、測定値のデータベース化や報告書作成などを自動で行うデータ管理ツール「GENNECT Field」や、Bluetooth対応の測定器からデータを収集して報告書を作成できる無償アプリ「GENNECT Cross」を提供している。

■遠隔操作できる機能を備えたPro版も

 GENNECT Remote Basicに加え、2017年秋には「GENNECT Remote Pro」を発売する予定である。価格は未定だ。Pro版では、遠隔地の測定器に保存された測定ファイルを、現地に行くことなく手元でダウンロードできる「遠隔ファイル取得機能」や、測定器の設定をリモートで変更できる「遠隔操作機能」などを備える。

 GENNECT Remote Basicに接続する機器は、日置電機の製品だけに限定するつもりはないと降旗氏は語る。「計測機器だけでなく、現場の様子も見えるようにWebカメラもつなげたいというニーズなどもある。そういった要望に応えられるよう、他社の製品も接続できるようにすることが目標だ。“現場をつなぐ”に由来するGENNECTの名前通り、現場で何が最も必要とされているかを考え、提供していきたい」(降旗氏)

最終更新:5/9(火) 22:10
EE Times Japan