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ブラジルの改正労働法、中小零細企業への影響は...

5/9(火) 7:22配信

MEGABRASIL

改正法をポジティブに利用する事例も

3月末に外注・有期雇用契約に関する改正法(以下「改正法」)に大統領が署名をして1か月が過ぎた。改正法には労働者側からの不安の声はあるものの、ブラジル社会に活気をもたらすものと期待する声もかなりある。

TVグローボが4月30日(木)、経済情報番組「ペケーナス・エンプレーザス・イ・グランヂス・ネゴーシオス」で、「改正法は中小零細企業にプラスに働く面も多い」という専門家の意見を伝えている。

改正法では。それまで禁止されてきた企業の本業部分の外注化を可能としている。ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団の経営学博士、ルシアーノ・サラマーシャ教授によると、今後、事業家は利益を出すことと雇用を維持することの両方を求められることになるという。

「この状態こそがブラジルを再び成長フェーズに向かわせるのです」(サラマーシャ教授)

本業と補助業務は何が違うのか?

例えば衣料品店を例にとると、洋服を作る、販売する部分の業務は本業とされ、従来は外注化ができなかった。一方、店の警備や清掃など、洋服を作る・売る以外の業務は補助業務とされ、今までも外注できる業務とされていた。本業が外注化できるということは、衣料品店の場合は縫製部分を他社の工場と契約することもできるのだ。

「小規模事業主は自社の従業員や設備を大企業の事業に提供でき、大量受注が可能になります。以前の法制ではこのようなことは起こりえなかったのです」(サラマーシャ教授)

とはいえ給与支払と労働法の遵守は外注先を受けた企業側の責任だ。それは中小零細企業であっても免除されない点には注意を要する。

改正法をポジティブに活用しようとしているのは事業家のヴァレリア・ヴァスコンセロスさん。

従業員等の子女を対象とした、企業の敷地内に設置した学校を27年間経営しているヴァレリアさんは、改正法によって他の学校にも役務提供ができるようになった。

この女性事業家は7つの学校を経営しているが、700人の児童を受け入れ、260人の正社員を雇用している。売上は月80万レアル(約2800万円)だ。

ヴァレリアさんは7つの学校に同じ管理体制を敷いているが、その合理的な仕組みによって競争力を維持してきた。

「サービス提供エリアごとに統括担当者を置いています。統括業務にはちゃんと基準となるマニュアルがあり、どこのユニット、エリアでも機能するようになっています」(ヴァレリアさん)

教育コンサルタントのクリスチャン・ホーシャさんは運営コスト等の問題への対処という面から外注化を前向きにとらえている。一方で子供に基本的なことを教えるという業種の特殊性からこれまでになかった問題が浮上してくる可能性もあるという。

「各校は児童教育に関してそれぞれ異なる方針をもって運営を行っています。そのため、外注化により学校と派遣されてきた教師の間で衝突もあり得ます。お互いの方針や経歴について、雇用する側もされる側も気を付けるべきでしょうね」(クリスチャン・ホーシャさん)

教育に限らず、建設業、イベント運営など外注化によって恩恵を受けるセクターは多い。中小零細企業にとっては自社のリソースを社会に生かす機会が増えることは明らかだ。

「中小零細企業はどんな大企業がどのような業務を外注してくるかしっかリ見ておく必要があります。そこに気づいて最初に乗り込むことが重要です。たいていは最初に来た者が最もきれいな水を飲める(最も大きな恩恵を受けられる)からです」(サラマーシャ教授)

(文/原田 侑)

最終更新:5/9(火) 7:22
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