ここから本文です

6月利上げでますます深まる“イエレンの謎”とは?

5/9(火) 16:20配信

投信1

米連邦公開市場委員会(FOMC)と米雇用統計の結果を受けて6月の米利上げ確率が高まっています。

利上げは景気の強さの裏返しとも言えますが、長期金利の上昇が限定的なことから“イエレンの謎”を不安視する見方もあり、順風満帆とまではいかない模様です。そこで今回は、米経済の抱える問題点を整理し、そこから見えてくる景気の先行きを占ってみます。

6月の米利上げに現実味、“3回目”には疑心暗鬼

FOMCと雇用統計を無事通過したことで、フェドウォッチによる6月の米利上げ確率は通過前の70%程度から80%近くにまで上昇しています。70%が利上げの目安とされていますので、市場は6月の利上げを確信したと言えそうです。

5月のFOMCで「1-3月期の景気減速は一時的」、「インフレ率は目標に近づいた」との認識が示されたほか、4月の雇用統計で雇用者数の増加が21.1万人と予想を上回り、失業率も4.4%と10年ぶりの低水準となったことが利上げ観測を後押ししています。

ただ、今年3回目の利上げが実施される確率は9月FOMCで30%台、12月で50%台と今回のFOMCと雇用統計の通過前後で大きくは変化していません。次回の利上げ時期は9月から6月に前倒しされましたが、年内に3回目となる利上げについてはまだ懐疑的な状況です。

昨年との違いは“吉”なのか“凶”なのか

昨年は2016年1-3月期の米GDP成長率が前期比年率+0.8%(速報値では+0.5%)に減速したことを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げペースを当初の予定から先送りしました。しかし、2017年1-3月期のGDP成長率が+0.7%に失速しても「一時的」として気にしていません。

昨年との大きな違いはマーケットの状況にあります。2015年12月に10年ぶりとなる利上げを実施すると、2016年は年初から世界同時株安となり、ドルが上昇したほか原油価格も急落しました。

一方、2016年12月に1年ぶりに利上げを実施しましたが、トランポノミクスへの期待感から株式市場はびくともせず、OPEC減産で原油価格が上昇したほか、トランプ大統領のドル高けん制発言でドル高も限定的となっています。

このように、株価を中心にマーケットが安定していることがFRBの景気見通しに自信を与えていると言えるでしょう。金融政策も昨年とは大違いで、低成長で利上げを先送りするどころか、3月には追加利上げを実施し、さらに6月の利上げを検討中となっています。

ただ、逆の見方もできます。昨年は株価の急落と景気の失速が歩調を合わせましたが、今年は株価が堅調にもかかわらず景気が減速しています。また、株価上昇の陰に隠れていますが、長期金利の伸び悩みも古くて新しい問題です。

1/2ページ

最終更新:5/9(火) 16:20
投信1