ここから本文です

コイの本拠地 広島・マツダスタジアム ナマズ かきあげ丼 太鼓判 油木高校が開発

日本農業新聞 5/9(火) 7:00配信

 野球観戦のお供にナマズ料理はいかが――。広島県神石高原町にある県立油木高校の生徒が養殖したナマズの料理が7月の1カ月間、プロ野球・広島東洋カープの本拠地、マツダスタジアム(広島市)で常設販売されることが決まった。「土用の丑(うし)の日」に合わせ、野球ファンにナマズ食をアピールする。全国各地では、ナマズで町おこししようという取り組みが広がり、今年もナマズが熱くなりそうだ。

 同スタジアムで8日、生徒らが「なまっしーのかきあげ丼」をお披露目した。スタジアムの食品販売部門を担当するエームサービスが調理し、スタジアム内の売店「匠(たくみ)の球飯(たまめし)」で販売する(価格は未定)。ナマズの臭みをなくし、おいしく食べられるようにタマネギを加え、インゲンで彩りを添えた。揚げたてをたまりしょうゆベースの特製たれに漬け込む。1日80~100食、計1400食程度を販売する予定だ。

 同校は2010年からナマズ養殖を始めた。農家の高齢化などで増え続ける耕作放棄地の解消策として、高級魚としての取引が期待できるナマズに着目。地域の特産にしようと、住民も巻き込んで生産拡大を図り、15年からは稚魚生産にも挑戦。現在は年間3000匹ほどを養殖する。

 生徒らの頑張りを知った広島東洋カープが、取り組みを応援するため3年前からスタジアムで年1回、販売する機会を設けてきた。生産量が増え、今年は常設販売にこぎ着けた。

 松田元オーナーは「子どもたちの努力が実ったことがうれしい。神石高原町の新たな名物になってほしい。地域と共に歩む球団として、心はつながっている」と喜び、かきあげ丼を試食して「おいしさを保証する」と太鼓判を押した。

 3年生の杉原瑞穂さん(17)は「たくさんの人においしいと感じてほしい。ナマズを有名にしたい」と張り切る。今後は年間1万匹の生産を目標に掲げ、周年販売を目指す。

水田養殖 注目の的 サミット2000人参加

 ナマズで町おこしをしようという動きは、全国で広がっている。

 油木高校のある神石高原町は、米を主体とする山あいの農業地帯。「米価が低迷する中、注目を集めているナマズを町の新しい産業にしたい」(同町)と期待する。

 町では休耕田でのナマズ養殖を目指し、地元の自治振興会が養殖部会を設立。現在、養殖の拡大に向け休耕田の確保に奔走している。養殖には広い農地と大量の水が必要で、「実用化に向け、少しでも早く養殖できる土地を確保したい」(同)と農地確保を急ぐ。

 埼玉県吉川市は稲作が盛ん。川に挟まれた地形を生かして江戸時代から川魚料理を提供する店が軒を連ね、「なまずの里」として知られる。

 20年ほど前から養殖が盛んに行われてきたが、地元の料亭などで使われる高級魚とあって、「もっと身近に食べてもらえる食材にしたい」(同市商工課)とナマズ普及に取り組む。

 同市が呼び掛け人となり、ナマズで町おこしをしている自治体などが2月18日、初めての「全国なまずサミット」を開催すると、予想を超える2000人が詰め掛けた。

 サミットには同市と群馬県板倉町、岐阜県羽島市、広島県神石高原町、福岡県大川市、茨城県行方市の6自治体などが参加。シンポジウムで情報交換した他、ナマズを使った料理コンテストなども開き、中華料理のシェフが考案した「なまずの四川旨辛(うまから)炒め」の他、ナマズの春巻きやライスコロッケなどが振る舞われた。

 国立研究開発法人水産研究・教育機構増養殖研究所の奥村卓二業務推進課長は「養殖を地産地消に結び付ければ、地域振興にもつなげられる。水田などを利用した養殖は海面養殖と違って漁業権などもないのでハードルも低く、JAや農業法人は参入しやすい」とメリットを強調する。(川崎学、柳沼志帆)

日本農業新聞

最終更新:5/9(火) 7:00

日本農業新聞