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トヨタ、18年ぶりWRC参戦。交錯する「モリゾウ」と「章男」

ニュースイッチ 5/9(火) 7:53配信

ファンと真摯向き合う姿勢がより鮮明に

 トヨタ自動車は世界ラリー選手権(WRC)に今シーズンから18年ぶりに復帰した。このラリー最高峰の大会にトヨタガズーレーシングWRT(ワールドラリーチーム)の名の下、小型車「ヤリスWRC(日本名ヴィッツ)」で参戦。スウェーデンで2月に開かれた第2戦では早くも優勝を飾った。量産車をベースにした改造車両で競うWRC。過酷なレースを通じて、技術力の向上やファン層の拡大、一体感の醸成などにつなげる。

「人とクルマを鍛え上げるためには最適な舞台だ」

 4月上旬。チーム総代表でもある豊田章男社長の姿がフランスにあった。WRCの第4戦の舞台を踏むため、日本から駆けつけた。レーサー「モリゾウ」としても活動する豊田社長は、WRCに熱狂するファンの様子やドライバー、チーム関係者らの息吹を間近で感じた。

 「人とクルマを鍛え上げるためには最適な舞台だ」。豊田社長はWRCに再参戦する意義を、こう解説する。トヨタは巨費が必要なフォーミュラ1(F1)へ2002年から参戦するため、99年にWRCから身を引いた経緯がある。そのF1もリーマン・ショックのあおりなどを受けて、09年に撤退した。

 F1はサーキットで専用マシンにより雌雄を決する自動車レースの最高峰で、量産車とはかけ離れた次元の戦いになる。一方、WRCは一般道で市販車ベースの改造車両で走行するため、そこで得た知見を量産車へ落とし込みやすい。

 トヨタもWRCでは米マイクロソフトをテクノロジー・パートナーに迎え、極限状態で走行するヤリスWRCから取得したデータを解析し、新車開発などに役立てる意向だ。モータースポーツとしてファンに夢や感動を与え、ブランドの人気や知名度を高め、なおかつ豊田社長が提唱する「もっといいクルマづくり」にも直接的に関わってくる。

 1月にモンテカルロで第1戦が開幕したWRCの今シーズンは、豪州で開かれる第13戦まで続く。トヨタはWRCで96―99年まで4連覇したトミ・マキネン氏をチーム代表に据え、チーム一丸となってレースに挑んでいる。

 マキネン氏と同じフィンランド人のヤリ―マティ・ラトバラ選手とユホ・ハンニネン選手をドライバーに、2台のヤリスWRCで奮闘中だ。

 「我々は今シーズンを開発の年と捉えているので、あまり大きな期待を抱かないようにしていた」。マキネン氏はそのように思っていたが、チームは長いブランクを感じさせることなく活躍している。初戦のモンテカルロではラトバラ選手が2位と好発進し、第2戦のスウェーデンでは優勝した。

 アルゼンチンでの第5戦終了後のドライバーズランキングはラトバラ選手が2位、ハンニネン選手が10位につけている。マニュファクチャラーズランキングでトヨタは3位だ。まだ中盤戦に入ったばかりだが、復帰シーズンから期待が膨らむ。

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最終更新:5/9(火) 7:53

ニュースイッチ