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東大寺だって木造!工場・倉庫・オフィスビル、非住宅に広がる木造建築物

5/9(火) 14:47配信

日刊工業新聞電子版

高性能建材・新工法で強度だす

 柱や梁(はり)などの構造部材に木材を使った、住宅以外の用途の建築物が増えている。学校など公共施設をはじめ工場や倉庫、ビルなどでも木造建築を採用する事例が増えてきた。鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比べて火事や地震に弱いイメージもあるが、高性能の建材や、木材の長所を引き出す新しい工法の開発も進み建築しやすくなった。国も国産木材の利用拡大を後押ししている。今後も非住宅のさまざまな分野で、木造建築物が増えそうだ。

 農林水産省・林野庁がまとめた2015年度の「森林・林業白書」によると、非住宅の木造建築物の増加は10年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されたことがきっかけだ。国が整備する公共建築物のうち、法令に基づく基準で耐火建築物とすること、または主要構造部を耐火構造とすることが求められていない場合、原則としてすべて木造化する目標が掲げられた。

 こうした方針に沿い、すべての地方自治体の約9割が「公共建築物における木材の利用促進に関する方針」を策定。国と都道府県、市町村が着工した木造建築物は14年度で3668件にのぼった。

 16年には建築基準法の改正で、大規模な木造建築物がより建てやすくなった。延べ床面積で3000平方メートルを超える建築物は耐火構造などにする必要があったが、3000平方メートルごとに耐火性の高い壁などで区画すれば、そうした規制を受けなくなった。今後は民間企業にも木造建築の着工が広がることが期待されている。

コスト高、補助金でカバー

 SMB建材(東京都港区、植木啓之社長)は、およそ20年前から中・大型の木造建築を手がける。独自の2方向ラーメン構造「サミットHR工法」は筋交い・耐力壁が不要なため、建物4方向すべてに開口部を設置できる。柱や梁には集成材や単板積層材(LVL)を使用。柱や梁の接合部の鉄筋は、外部に露出しないため鉄筋が錆(さ)びず、海沿いに建てても長持ちする建物がつくれる。

 公共の建築物を中心に地元産の木材を使うなど、地域のシンボル的な存在となる建物をつくり実績を増やしてきた。手がけた建築物の累計は約900棟にのぼる。ただし、「鉄骨造に比べるとコスト面で7、8割は高くなってしまう」(SMB建材)ケースもある。民間の建築に広げるには、ハードルが高いようだ。

 そうした中、同社が手がけたキーテック(東京都江東区)の木更津工場(千葉県木更津市)内の木造棟は、県産材のカラマツを使い、国の補助金を受けることでコスト負担を低減した。柱や梁にカラマツのLVLを活用。木造ながらも丈夫な建物とし、約3000平方メートルの大きな空間を実現した。つり上げ能力2・8トンの天井クレーンも2台備える。「鉄骨造の工場棟に比べると夏は涼しくて快適」(キーテック)なため、従業員からの人気も高いという。

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