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飢えるベネズエラ、壊れた豊かな国(前編)

ウォール・ストリート・ジャーナル 5/9(火) 12:14配信

 【ヤーレ(ベネズエラ)】ジャン・ピエール・プランチャールちゃんは1歳。しかしその顔は老人のようにやつれていて、すすり泣くような泣き声しか出ない。肋骨が浮き出たその体はたった11ポンド(約5キロ)の軽さだ。

飢えるベネズエラ、壊れた豊かな国(後編)

 母親のマリア・プランチャールさんはごみの中からやっと見つけた食べ物――鶏肉やジャガイモのかけら――で子どもに栄養を摂らせようとした。プランチャールさんは今、カラカスの病院で、コメと牛乳のスープが息子の命をつないでくれるようにと祈っている。

 「息子は眠り続け、どんどん弱っていった。体重は減り続けた」とプランチャールさん(34)は言う。「ベネズエラがこんなふうになるなんて考えたこともなかった」

 ベネズエラはかつてラテンアメリカで最も豊かな国のひとつで、食料も輸出していた。だが今では民間農場の国有化と価格統制、通貨統制で身動きが取れなくなり、国民を養うための成長率も確保できない。

 ベネズエラのインフレ率は世界で最も高く、国際通貨基金(IMF)の推計では今年、720%に達するとみられている。これでは家庭が収入の範囲で生活することはほぼ不可能だ。投資銀行トリノ・キャピタルによると、2013年以降、同国経済は27%縮小し、食料輸入は70%減った。

 子連れを含む多くの人々がごみをあさっている。1年前にはほとんど見られなかった光景だ。地方に住む人たちは夜になると、木になっている果物から地面で育っているかぼちゃまで農場にあるものはなんでも盗み出し、種や肥料の不足に苦しむ農家に追い打ちをかけている。食料品店は略奪の被害に遭い、家庭では冷蔵庫に南京錠をかけている。

 社会科学者が毎年実施している生活水準に関する全国調査によると、昨年、体重が減ったと回答した国民は4人に3人。平均減少幅は19ポンド(約8.6キロ)に上る。人々は怒りとユーモアを込めてこれを「マドゥロ式ダイエット」と呼んでいる。同国のニコラス・マドゥロ大統領にちなんで命名されたものだ。

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最終更新:5/9(火) 13:09

ウォール・ストリート・ジャーナル