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平昌スノボ経由で東京幅跳び「金」へ…パラ“陸雪二刀流”目指す山本篤を支える鋼の肉体

スポーツ報知 5/9(火) 10:02配信

「見応えがある」世界新7メートル超を

 リオデジャネイロ・パラリンピック走り幅跳び銀メダルの山本篤(35)=スズキ浜松AC=が「平昌経由での東京金」を目指している。趣味のスノーボードを今年から競技として本格的に始め、2月の全国大会で優勝。抜群の身体能力と磨き上げた鋼の肉体による“陸雪二刀流”の超人は、スノーボードで18年冬季平昌大会出場を狙い、20年夏季東京大会の走り幅跳びでは、世界記録となる7メートル超の大ジャンプで金メダル獲得を思い描く。(取材・構成=浜田 洋平)

 勝負の世界で生きている。初出場したスノーボードクロス決勝。山本がスタート位置につくと、隣に並ぶ相手の顔つきが変わった。「何が起こるか分からない」。転倒の可能性もあり、駆け引きが勝敗を分ける。肌を刺すような空気に胸を打つ鼓動が速くなった。この緊迫感がたまらない。「すごくドキドキしたけど、その分、ワクワクもした。僕はそれが好き」。相手の転倒もあって優勝。“陸雪二刀流”への挑戦が始まった。

高校時はバレー部スポーツ万能!

 中1からスノーボードを始め、高2で左脚切断後も趣味だった。正式種目となった14年ソチ大会前は日本に障害者スノーボード協会がなく、山本は出場までの手順が踏めず。その後、協会ができて道筋が明確になり「人生一度きりなので後悔したくない」と決意。今年7月に3連覇のかかる世界陸上を終えた後、スノーボードの世界ランクで上位に入って平昌出場への道を切り開いていく。

 挑戦を可能にするのが、高い身体能力と鋼の肉体だ。健常者だった高校時代は、バレーボール部のアタッカーで垂直跳び1メートル超。高2のスポーツテストはハンドボール投げ41メートル、1500メートル走4分36秒など5種目中4つで満点だった。シャツの下にはずっしりとした本物の筋肉がある。今年初めに雪山へ行くと「3季くらい滑ってないけど、難なく滑れた。衰えてないのは(陸上と)同じ筋肉だったから」と陸で鍛えたことが生きた。

 この肉体が走り幅跳びで世界レベルの跳躍を生む。健常者なら引退を考える年齢だが、体のピークは08、12、16年を比べると、34歳の昨年リオ大会が一番上だった。「東京はもっと上がると信じている」。リオは自己最高6メートル62を跳び、わずか8センチ差で銀。「義足で7メートルを跳べれば見応えがある。7メートルなら金が見えてくる」。胸から飛び出そうなほどの向上心が原動力だ。

 世間の人々が持つ「障害者=かわいそう」という見方を「パラ選手=かっこいい」に変えるのが夢。高い目標が世界一、世の中の意識改革につながる。「僕は戦って勝ちたい。山本篤のパフォーマンスを知ってほしい。『義足でこんなに跳べるんだ』って」。世界記録6メートル77をはるかに超える大ジャンプ―。義足が夢を実現させる武器になる。

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最終更新:5/9(火) 10:02

スポーツ報知