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「悪条件が重なった」防火行政指導届かず 福岡6人死亡アパート火災

西日本新聞 5/9(火) 11:02配信

 6人の命を奪ったアパート火災は、鉄筋コンクリートに比べ燃えやすい木造住宅だったことに加え、出火当時は強風注意報が出されるなど、「短時間で火が燃え広がる悪条件が重なった」(専門家)ことが惨事の一因とみられる。北九州市は今後、木造の共同住宅の火災対策を検討する。

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 管理する不動産業者によると、築年数は不明だが、1955年に建物の所有権を移転した記録が残る。建物は2階建てで1階に7部屋、2階に9部屋あった。

 1階に住む男性は2階から飛び降りた住民が「2階の方から火が出た」と叫ぶ声を聞いた。男性によると、北側の階段が燃えていたという。深夜の発生。「ものすごく火の回るのが早かった」(70代女性)との証言もあり、アパートが短時間で炎に包まれたため、逃げ遅れた可能性がある。

 防火対策が十分だったかも不明だ。同市では近年、老朽化した木造家屋の密集地で火災が頻発。市消防局は木造の市場や商店街を対象に「自動火災通報システム」を整備する制度を設けるなど防火対策を強化しているが、「共同住宅」は対象外だった。

 市消防局によると、共同住宅は市火災予防条例に基づき、使用開始時に市に届け出が必要。ただ、中村荘は条例が制定された61年以前に建てられたとみられ、届け出ていなかった。同局は「共同住宅として把握していなかった」としており、消防法に基づく点検や指導はしていないという。

 東京理科大の辻本誠教授(火災安全工学)は「古く小さな木造の共同住宅は規制が行き届いていないのが現状。住民を確実に守るための方策が必要だ」と指摘した。

=2017/05/09付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:5/9(火) 12:44

西日本新聞