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「通いの場」軸の地域包括ケア 倉敷市保健福祉局吉田昌司参与に聞く

山陽新聞デジタル 5/9(火) 11:22配信

 岡山県倉敷市は、健康寿命の延伸を図りながら、医療や介護が必要になっても住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、「通いの場」を軸とした「地域包括ケアシステム」の構築に取り組んでいる。そのキーワードは「住民主体」。75歳以上の急速な増加に伴う高齢社会の進展を視野に入れた事業の現状と将来展望について、市保健福祉局の吉田昌司参与に聞いた。

 ―倉敷市の高齢化の現状を教えてください。

 65歳以上の高齢者は12万7千人で高齢化率は26%を超えています。介護保険事業計画では、団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年には13万3千人に増え、高齢化率は27・8%になると推計しています。とりわけ75歳以上は5万9700人から8万3600人と伸び率が高く、これに伴い認知症の高齢者の増加等も予測され、医療・介護サービス需要の増加が見込まれます。

 一方、高齢者人口の伸びに伴い生産年齢人口の割合は下がるため、働き手や担い手不足が生じる可能性があります。このため、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築は急務です。

 ―高齢者に対する支援の充実、それを支える社会基盤の整備に有効な「地域ケア会議」を早い段階から実施していますね。

 15年度からの国の法定化に先立ち07年度から独自に実施しています。医師や歯科医師、薬剤師等の専門職や民生委員、愛育委員、栄養委員など多様な方々に参加いただき、地域づくりを進めるため地域の特徴や課題を整理し、見守り等の取り組みを進めるとともに、議論の結果を必要に応じて市の政策へと反映させています。3階層の会議を実施していて、困難な事例を検討する「ミニ地域ケア会議」▽小学校区で高齢者の支援体制構築を検討する「小地域ケア会議」▽倉敷、水島、児島、玉島の4行政区単位での広域的な支援体制構築を検討する「地域ケア会議」があります。

 こうした会議を通して必要な医療・介護サービスを確保しつつ医療・介護の専門職の連携を深め、質の高いサービスを提供していきます。同時に、健康寿命の延伸を図るため高齢者の社会参加を促し、元気な高齢者が支援の必要な高齢者を支えられる地域の実現を目指しています。

 ―15年の介護保険法改正で、従来型の介護予防から「地域づくり」へと方針転換がありました。

 今回の改正は地域の支え合いを推進・強化するのが狙いです。改正に伴い「介護予防事業」と「包括的支援事業」が大きく変わりました。従来の介護予防事業に変わる、新しい介護予防・日常生活支援総合事業(新しい総合事業)の中には、全ての高齢者を対象にした一般介護予防事業が設けられました。

 倉敷市は、新しい総合事業を岡山県内では最も早い16年3月から実施し、高齢者が活躍できる地域づくりを進めています。というのも、役割を持って地域の活動に参加していくこと自体が介護予防につながるからです。一般介護予防事業の枠組みを生かし、元気な高齢者や要支援を含む虚弱高齢者、要介護者も含めて身近に立ち寄れる「通いの場」を、住民の皆さんが主体となってつくっていこうという取り組みです。その形はふれあいサロンや世代間交流の会、認知症カフェ、食事会などさまざまです。

 退職によって団塊の世代の方が地域に戻ってくるなど、地域には元気な高齢者がいっぱいいらっしゃいます。さまざまな活動の場があることで、こうした人々が生活支援の担い手として社会参加ができることになります。地域の「人財」として活躍していただきたいと考えています。

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最終更新:5/9(火) 11:22

山陽新聞デジタル