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「会社を辞められない」という思い込みのナゼ。追いつめられる前にできること

ホウドウキョク 5/9(火) 18:30配信

近年、ブラック企業や過労死、過労自殺などの話題が世間を賑わせている。それを受けて、“仕事と健康”の関係が見直されてきているが、過度なストレスで追いつめられても、うつになっても、どうして人は会社を辞めることができないのだろうか? 今回は、マンガ『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)』(あさ出版)の監修・執筆を担当した精神科医のゆうきゆう先生に、「なぜそれでも会社を辞められないのか」を聞いた。

「なぜ会社を辞められないのか?」マンガを見る

追いつめられても逃げ出せない理由「学習性無力感」とは?

ストレスにさらされていることに気づいていながら、人はどうして逃げ出すことができないのだろうか?ゆうきゆう先生は、「心理学の有名な概念に『学習性無力感』と呼ばれるものがあります」と話す。

「これは長期間、人間や動物がストレスを受け続けると、その状況から逃げ出そうとする努力すら行わなくなるという現象です。サーカスの象は足首に紐をくくられ、地面にさした杭とつながれています。象は本来、力が強く、杭ごと引っこ抜いて逃げ出すことができるはずです。しかし、サーカスの象はおとなしく、暴れたり逃げ出そうとしたりしません。それはなぜか。サーカスの象は、小さいころから足に紐をくくられ杭につながれて育ちます。小さい象の力では杭は抜けません。つまり、小さいうちに『抵抗してもムダ』ということをインプットしてしまうため、大きくなっても、小さいころの『ムダだ』という無力感を学習したことで、『逃げる』という発想自体がなくなってしまうのです」(ゆうきゆう先生、以下同)

つまり、象にとっての杭が、人間にとってのストレスということ。抗ってもムダであると思い込んでしまう。つらいと感じていても、「逃げ出す=会社を辞める」という選択肢が見えなくなるのだ。

「何があっても大丈夫」な人は存在しない 追いつめられる前に今すぐ自分でできること

では、追い詰められてしまう前に、何か自分でできる対策はないものだろうか?ゆうき先生は、自身の経験を踏まえ、それについても教えてくれた。

「まずは、“誰でも過度なストレスを受け続けるとうつになり、時には命を落とすような状況にまで追い詰められる可能性がある”ということを知っておくことが大切。ストレスの強すぎる環境にいれば、どんな人でも精神的に追い込まれ心の病気になる可能性は大きく上がるのです。ちなみに私自身も、過去にストレス過多状態が続き、眠れなくなったり、食欲が落ちたり、また『仕事に行きたくない』と思ってしまったことがありました。精神科医ですら、こうした状態に陥る。『何があっても絶対大丈夫な人』は存在しないのです」

過度なストレスが及ぼす悪影響。誰もがわかっているはずなのに、労働環境や職場風土といった周辺の要因などにより、見えなくなる。そして、追いつめられているにもかかわらず、仕事をやめられなくなってしまう。

そうならないために今すぐできることは、現在の仕事について、ある条件を再確認することと、ゆうき先生。その条件とは、以下の2つ。

(1)「頑張っていることが自分自身で決めたことかどうか」
(2)「頑張ったことによる成果が分かりやすいか」

「この2つの要素がとても重要になってきます。たとえばマンガ家さんの中には、たくさんの〆切を抱えハードスケジュールのなか、非常に多くの作品を生み出す人がいます。彼らは会社員ではないので残業時間という概念はありませんが、休む暇もないくらい働いていますよね。しかし、このような人たちの多くがイキイキとしている。それは連載にしてもマンガを描くという仕事にしても、(1)自分が決めたことだからです。そして頑張ってマンガを描いた結果、単行本の売上げや読者の声という形で、(2)成果がわかりやすくダイレクトに感じられるからです」

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最終更新:5/9(火) 18:30

ホウドウキョク