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生活保護受給までの「つなぎ施設」 6人死亡アパート火災「野宿させるわけには」

西日本新聞 5/9(火) 14:27配信

 北九州市小倉北区のアパート「中村荘」で6人が死亡した火災で、市消防局は9日、所有者から共同住宅としての届け出がなく、行政指導ができていなかったことを市議会常任委員会で明らかにした。一方で、中村荘は生活保護の申請者らが受給資格を得るまでの「つなぎ施設」として利用され、事実上の簡易宿泊所だったとの指摘もある。位置付けがあいまいなまま、火災を防ぐ対策から漏れていた可能性が強まった。

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 市などによると、中村荘には16人が入居し、うち無事が確認された20~60代の4人が生活保護受給者だった。市内には貧困者を受け入れるアパートは中村荘を含めて4軒ある。市担当者は「連帯保証人や敷金、礼金がいらない日貸しの場所はなかなかない。受け入れ先は限られるのが現状」と打ち明ける。

 中村荘には、路上生活者の自立を長年支援している同市のNPO法人「抱樸(ほうぼく)」が運営する市自立支援センターを介した入居者もいた。法人担当者は「保護の決定には3週間から1カ月かかる。その間、野宿をさせるというわけにはいかない。中村荘のような形態は、自立に向けたつなぎの場所だ」と話す。生活保護を申請すれば市から1日千円の貸し付けを受けられ、「家賃が500円。残りの500円でご飯が食べられる」(担当者)という。

 一方、中村荘は人の入れ替わりが激しく、実質的には日雇い労働者らの簡易宿泊所としても利用されていた。簡易宿泊所はシーツの交換など屋内の管理を経営者が行い、宿泊者は生活の拠点にしない。中村荘は簡易宿泊所としての許可を市から得ていなかった。

 消防法によると、共同住宅は150平方メートル以上で消火器、500平方メートル以上で自動火災報知設備(火災報知機)の設置が必要。中村荘は約300平方メートルで、消火器配備が義務付けられ、市火災予防条例で住宅用火災警報器が必要になる。

 旅館業法に基づく簡易宿泊所の場合、▽150平方メートル以上で消火器が必要▽面積にかかわらず自動火災報知設備(火災報知機)と避難経路に避難誘導灯の設置が必要▽カーテン、じゅうたんは燃えにくい製品を使用-などが義務付けられている。

 市消防局は市議会で「無届けの建物をどうやって把握するか、他の政令市に聞き取りをした上で今後の対応を考えたい」と説明した。

=2017/05/09 西日本新聞=

西日本新聞社

最終更新:5/9(火) 14:27

西日本新聞