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フランス大統領選に識者「マクロン氏がEUを推進すればするほど、5年後に国民戦線が躍進する可能性」

AbemaTIMES 5/9(火) 16:21配信

 決選投票にもつれ込んだフランス大統領選挙は、激戦の末、無所属のマクロン氏が約66%の得票率で、対立候補・急進右派のルペン氏を大きく引き離し勝利した。

 勝利演説でマクロン氏は「私はどの困難一つとっても知らないものはない。経済的な困難、社会の溝、民主主義の行き詰まり、我が国のモラルの弱体化も。私の責任は、女性も男性も全員を、私たちを待ち受ける巨大な困難に打ち勝つべくまとめることだ。これからの挑戦はチャンスでもある。デジタル改革や、環境の変遷、ヨーロッパの再出発なのだ。それ以外の挑戦はテロなどの脅しに立ち向かう闘いだ。フランスを愛しましょう、今夜から5年間」と語りかけた。

 マクロン氏の支持者は「ずっと長い間待っていた。これはフランスにとって大きな希望。これからは良い方向に進める」「素晴らしいのは、これが新しい出発になること。一度全てを白紙に戻さないといけない。前から存在しているシステムをちょっと修正、調整するのではなく。これは新しいチャンスだ」と喜びの声をあげた。

 マクロン氏は、フランス北部出身の39歳。出身学校はシラク氏やオランド大統領など多くの政治家を輩出した名門で、卒業後は投資銀行に勤務した経験があるという。また、オランド大統領の下で経済相を務めた経験をもち、公約にはEUの再活性化や規制緩和などを掲げ、雇用問題についても失業保険の改革をアピールしていた。

 一方、大差をつけられた急進右派のルペン氏は、これまで徹底して移民排斥を訴え、負けたとはいえ3割以上の票を獲得。敗北宣言では「私を信頼し、投票してくださった1100万人のフランス人たちにお礼を言いたい。この大量な票獲得という歴史的な結果はつまり、愛国精神、共和主義が新しい大統領の計画に対立しうる一番の勢力であるということだ」と語り、一定の収穫を得た自信からか、笑顔も見せた。

 ルペン氏の支持者も「国民戦線にとっては歴史的な数字だ。フランス国民が我々に信頼を置き始めている。私たちを悪者にしようとしたのは失敗だった」「3人に1人がルペン氏に票を入れたのだから、私たちは結局前進している」と今回の選挙を前向きに捉えている。

 津田塾大学教授の萱野稔人氏は、今回の選挙の背景に、どれくらい移民問題が要素としてあったのかを判断するは難しい。ただ、世論調査では移民問題についてルペンの主張を信じるという声は非常に多い。程度は別として、何らかのかたちで治安の維持を徹底しなければならないという点では皆一致している。昔からフランスにはアラブやイスラムが怖いという人はとても多い。キリスト教とイスラム教の何世紀にもわたる対立とも重なって、非常に根深い問題」と話す。

 また、萱野氏は「福祉予算も削られる中、なぜ移民を入れなければいけないんだという疑問が広がっている。効率的な捜査のためにも人種別の犯罪傾向を調べろという意見や、そうしたデータを出さないメディアに対する不信感も出てきている。EUのせいで、フランスは移民の数もコントロールできない」と、移民問題の観点からもEUとは距離を置くべきだ、という風潮が現れているのだと説明した。

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最終更新:5/9(火) 16:21

AbemaTIMES