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[記者手帳]日本の憲法の無意識

ハンギョレ新聞 5/9(火) 11:58配信

 日本の憲法が平和憲法と呼ばれるのは「戦争放棄」を明示した9条のためだ。平和憲法70年をむかえて日本の右翼はこの憲法を変えて「戦争できる国」を作ろうと総力を振り絞っている。しかし、日本人の圧倒的多数は憲法9条の改正に反対している。保守右翼は60年を超えて9条を撤廃しようとしたが、常に挫折してきた。なぜだろうか。

 日本の思想家である柄谷行人は、憲法9条が日本人の「無意識」に根をおろしているところにその理由を探す。憲法9条の「戦争放棄」は、無意識の問題なので意識的な説得や宣伝ではなくすことができないということだ。柄谷は『憲法の無意識』(岩波新書)で、後期フロイトの「超自我」概念を導入しこの無意識の構造を説明する。フロイトは、第1次大戦の惨状を体験した後、人間の内部に死の衝動があることを発見した。死の衝動は外部に表出される時には攻撃衝動になるが、この攻撃衝動が外部のさらに大きな力に阻まれれば、方向を変えて人間の内部へ向かう。この時に形成されるものが超自我だ。超自我とは攻撃衝動を自ら抑制する無意識的な力だ。戦後憲法が作られる過程が、この超自我の形成メカニズムを示す。連合軍が日本を占領し圧迫して、日本の内部でこの圧迫に応じて自ら「戦争放棄」を宣言した結果が憲法9条だという話だ。憲法9条は、日本という共同体の無意識的超自我、すなわち良心だ。この超自我は、説得や宣伝ではなくすことはできない。

 柄谷の診断どおり、日本国民の憲法9条支持が堅固だと見ると、改憲派は9条をそのまま置いておき、他の条項を先に改正しようとする。憲法9条の精神を無力化し、日本を戦争できる国にしようとする作戦だ。したがって戦後憲法自体を守護すること、換言すれば過去を守ることは日本市民にとっては切迫した問題だ。韓国はどうなのか。私たちは過去を捨てて前に進むことが課題だ。9日は投票で古い過去と決別する日だ。

コ・ミョンソプ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:5/9(火) 11:58

ハンギョレ新聞