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黒田日銀総裁:新興国のドル建て債務問題に注意払う必要ある-講演

Bloomberg 5/9(火) 16:28配信

日本銀行の黒田東彦総裁は9日、都内で開かれた国際金融協会(IIF)春季総会で講演し、改善傾向にある世界経済の弱点の一つとして新興国のドル建て債務問題を挙げ、注意を払う必要があるとの見解を示した。

黒田総裁は「米国が金利政策の正常化に着手しつつある中、金利負担の増大と為替レートの減価という2つの側面から、新興国の債務ダイナミクスに注意を払っておく必要がある」と指摘。国際資本移動の規模が拡大し地政学リスクが複雑化しており、「新興国企業のドル債務や通貨ミスマッチの問題は、引き続き注意が怠れない論点」だと語った。

多くの債務がドルや他の外貨建てで行われている通貨ミスマッチの問題については、主要国の金融機関にとっても「人ごとではない重要なテーマ」だと強調。日本の金融機関も通貨スワップを通じたドル調達への依存度は相応の水準にあるとした上で、「米国の金利上昇は為替スワップのドル調達コストを高める要因となる」と警鐘を鳴らした。

金融機関の収益性の問題にも触れ、「先進国の多くは潜在成長率の低迷や人口動態の変化、さらに気候変動リスクの高まりといった長期・構造的な問題に直面しており、金融機関のビジネスモデルに対して戦略的な見直しを迫る要因となっている」と語った。

邦銀については「四半世紀の長きに及ぶ低金利環境と加速する少子高齢化の重圧は国内における貸し出し利ざやの圧縮と預貸率の低下という二重の圧力となって基礎的収益力を下押しつつある」と指摘。「堅固な財務基盤に裏付けられた前向きなリスクテイクを可能とするビジネスモデル」の構築が各国の金融機関にとって共通の課題になっていると強調した。

Kyoko Shimodoi

最終更新:5/9(火) 16:28

Bloomberg