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暇つぶしギミックが詰まった「フィジットキューブ」を3種類、プチ大人買い!

アスキー 5/10(水) 12:00配信

今回衝動買いしたものは、ト「フィジットキューブ」という暇つぶし用ガジェット。実は同種同名の製品がちまたにあふれており、その中で本物らしきものとそっくりさん2種類を購入して比較してみた

 筆者に限らず、何か考え事をしている時や、不連続な思考をさかのぼって考えを整理して並べ直している時などに、無意識の内にノック式のボールペンをカチカチ音をさせたり、一時流行ったペン回しをやったり、中には自分自身の体を使って貧乏ゆすりをやったりすることがあるだろう。
 
 
 2016年秋にこれらの“いじくりまわす”と“暇つぶし”、“思考支援”などをテーマにしたサイコロ型のガジェットである「フィジットキューブ」(Fidget Cube)がキックスターターではじまった。そして、予想をはるかに超えるバッカー(支援者)が集まり、何とか無事出荷された。
 
 しかし、フィジットキューブは、正式商品の出荷前にコピー商品が市場にあふれるなど、クラウドファンディング系商品の難しさも露呈したなかなか意味深い商品となった。
 
 筆者も当初、混沌とした状況を知らず、上野にある大きくて有名な玩具屋「ヤマシロヤ」の1階ではじめて見て、そっくりさんを980円で衝動買いしてしまった。
 
 そしてその後、フィジットキューブとそれを思いついた背景などに興味を持ち、いろいろ調べているうちに本物らしいモノの存在やさまざまなトラブルを知り、たくさんの偽物、ほんの少しの本物が入り乱れたウェブ市場で、本物と思われるかなり高価な一品を探し当てて購入した。
 
 その後も、秋葉原を散策中に、裏ストリート散策好きには有名な「あきばお~」でより低価格の648円で大量に店頭で売られていたそっくりさんを購入。ついに玉石混交で3個のフィジットキューブのオーナーになってしまった。 
 
 今回は、フィジットキューブらしきものを3個もコレクションしてしまったおバカな筆者から、3個のアイテムの見かけと実際の使い勝手などを報告してみようと思う。
 
暇つぶし……いや、思考を支援するのための「フィジットキューブ」
 そもそも、ボールペンのノックやペン回しで済む暇つぶしのためだけなら、ごく普通のボールペンさえあれば済むことだ。
 
 しかし、時代はSNSとクラウドファンディングが勢いあまって、世の中のトレンドが時におかしな方向に独りでに向かってしまう時があるようだ。
 
 そんな時代ゆえに、暇つぶしのように見えて「思考を支援する」というふれこみで、「フィジットキューブ」なんていう格好いい名前の手のひらでコロコロしてヒーリング的にも役立ちそうなモノが格好よくウェブデビューしてくると、すぐに数億円単位のお金が集まってしまう面白くも狂った時代なのだ。
 
 筆者が街の玩具屋さんの店頭で偶然見かけて衝動買いしたそっくりさんの紹介は2番目に譲るとして、まず、かなりの確率で本物に限りなく近い、いやたぶん本物であって欲しい最も高価なフィジットキューブから紹介したい。
 
 たぶん本物だと思っているフィジットキューブは、ほかの2つのそっくりさんとは格段に違う、本物だけが似合いそうな豪華なプラスチックケースに収まって送られてくる。
 
 そして日常、フィジットキューブを持ち運ぶために企画者であり製作者である「antsy labs」のロゴ入り専用ポーチが付属する。これはますます本物っぽい。
 
6つの面にそれぞれ暇つぶし機能を搭載
 筆者が本物だと思っているフィジットキューブの角は少し丸い。一辺の長さを電子ノギスで測ってみたところ、ほかの2つのそっくりさんより一辺が約1mmほど小さくコンパクトだ。
 
 3つともキューブ(立方体)なので、6面全部に特別のウンチク機能を有している。
 
 
 6つの機能は「spin」「flip」「breathe」「roll」「click」「glide」というもの。この6つの機能に関しては、3つともまったく同一の言い回しを採用している。
 
 まずspinは、小さな円盤を回転させる機能。円盤の上にある、より小さなポッチを親指の腹で捕まえるのがポイントだ。
 
  flipは電灯スイッチの要領でカチカチとオン/オフする感じ。breatheは一般的に「Worry Stone」(安心石)と呼ばれる“心の平静を得るために指先で擦るくぼみのある石”と同じ効果を出すのが目的の機能だ。
 
 rollは独立して回転する3個の歯車やトラックボールのような球体を指先で回転させる機能。
 
 clickは、サイコロの5の目のような出っ張りを指先で押す。実際に5つのうちの3つはクリック感がほかの2つと異なる。
 
 そして最後のglideは、滑るように水平動作する特殊な円盤だ。
 
 パッと見、2つのそっくりさんフィジットキューブも、本物と同じような機能を有するように思えるが、実際にすべての面の特徴ある機能に触れてみると、本物とそっくりさんの間にはかなりの指先体感差のあることに気づく。
 
 最大の差異があるのはglide機能だ。本物は“滑る円盤”の位置が極めて低く、キューブ本体にくっつくほど接近しているのに対し、2つのそっくりさんは円盤がキューブから飛び出しており、滑るという感覚ではなく、ジョイスティックのように単に傾斜するだけ。本物のグライド感とは程遠い。
 
 もう1つ大きく動きが異なるのはspinだ。本物はごくわずかなクリック感とともに小気味よく回転するが、そっくりさん2つは回転させるのにかなり指先の力が必要になったり、逆に何の感動もなくただ回転するだけだ。
 
 いずれも外観はそこそこそっくりに作ったが、内部の構造的な作りがまったく似ていないことの表われだろう。
 
 そしてrollの機能に関しても、spin同様、構造的な欠陥が災いして、極めて動作が鈍く重いか不安定だ。
 
クラウドファンディングの危うさを象徴するガジェット
 こうしてみると本物とそっくりさんの機能的な違いは明確だが、フィジットキューブのような商品は、クラウドファンディングの危うさを象徴しているようだ。
 
 製品に関するアイデアは豊富だが資金繰りの厳しい小さな企業は、その資金をバッカーに頼らざるを得ない。そのためには広範囲なウェブ上での企画や着想、サンプル製品の開示が資金集めの大前提となる。
 
 そして、世界中に発信するそれらの情報が同時に、第三者によるコピー商品の早期出現を可能にするという皮肉な結果となっている。
 
 今回の商品は、本物も2つのそっくりさんもすべて製造は中国だ。米国antsy labsが資金繰りの面でクラウドファンディングに頼って商品情報の開示を行ない、バッカーを得てやっと製造に取りかかった頃には、すでにクラウドファンディング上で開示された外観や一部の公開仕様を真似したそっくりさんが、10分の1近くの販売価格で先に市場に登場するという茶番劇になってしまった。
 
 もはやネット上のSNSやクラウドファンディング系の仕組みの進歩に対し、過去のアナログ法律システムや懲罰システムや権利保護システムは永遠に追いつきそうにない。残念だが期待される法的手段による制限や管理は速攻には効きそうにはなさそうだ。
 
 クラウドファンディングシステムを利用して資金繰りを考えるなら、ハードウェアだけではなく、ネットとの便利な連携機能で丸裸にならず、差別化を考えるか、一発勝負ではなく2番目、3番目の商品やシステム、サービスを事前に織り込んだ上で、商品がコピーされても、振り切って逃げられるだけの技術先行性と機敏性、継続性を持って戦うしかなさそうだ。
 
値段が10倍違っても、一般の人は3つの製品の違いを理解できない!?
 フィジットキューブは昨今、もっともっと癒やされたくて、なぜか視聴覚系が弱くなってしまった限られたセグメント世代には超面白い商品として映るのかもしれない。
 
 しかし、ごく普通の我が家の娘に本物と2つのそっくりさんの3つを、機能の説明と効果を説明後、どれが本物か選ばせてみた。予想に反して、彼女が選んだのは、そっくりさんのうちの1つだった。
 
 最後に娘に3つの商品の購入価格を教えた所、本物の値段にはびっくり仰天、どのみちどれも買わない! というなかなかクールで普通な返事が返ってきた。
 
 速攻で3つも買ってしまった筆者も、絶対に要らんという我が家の娘の両者とも、枠をはみ出ているのかは我々にはわからない。ただ、どこか面白い時代が来つつあることは確かなようだ。
 
今回の衝動買い
 
アイテム:
「フィジットキューブ」
 
価格(antsy labs製):アマゾンにて5180円で購入
価格(そっくりさん1):上野ヤマシロヤにて980円で購入
価格(そっくりさん2):秋葉原あきばお~にて648円で購入
 
T教授
 
 日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
 T教授も関わるKOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。
 
文● T教授、撮影● T教授

最終更新:5/10(水) 12:00

アスキー