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リチウムイオンが急成長、蓄電池市場は2025年に4.7倍に

スマートジャパン 5/10(水) 8:40配信

 富士経済は電力貯蔵システム向け二次電池市場の調査結果を発表した。住宅用、非住宅用(商業・公共・産業施設)、系統用(変電所や従来型発電所などの系統設備、再生可能エネルギー電源)向けの二次電池を対象に、現状の市場分析と今後の予測を行っている。

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 2016年の住宅用、非住宅用、系統用を合計した二次電池の世界市場は1649億円。今後は全ての分野で市場が拡大し、2025年の市場規模は2016年比で4.7倍の7792億円に拡大すると予測した。

 電池の種別として今後大きく伸びるとするのは、リチウムイオン二次電池(LiB)だ。低価格製品を展開する韓国系や中国系メーカーの台頭で単価が大幅に下落していることを受け、さまざまな用途での採用が増えている。従来は想定されていなかった数十~数百MWh(メガワット時)や長時間出力用途での採用も増えてきているとする。

 住宅用では住宅太陽光発電の自家消費や効率利用、系統用では周波数制御や電圧制御を行うアンシラリーサービスおよび再生可能エネルギー電源への併設といった用途でLiBの需要が伸びているとした。

住宅用では日本と北米・中南部で需要増

 2016年の市場規模のうち、510億円は住宅用蓄電システム向けの蓄電池が占める。今後は特に日本と北米・中南米での需要が拡大し、2025年には2016年比4.1倍の2080億円に拡大すると予測した。

 現在日本では搭載容量6kWh(キロワット時)前後のLiBを使用したピークシフト用途が中心だが、住宅向け固定買取価格制度(FIT)の終了などを契機に、2020年以降は自家消費用途の需要が拡大するとしている。北米・中南米では現状、非常用電源用途として鉛電池(Pb)の採用が多いが、太陽光発電による電力の自家消費が進んでいるドイツ、豪州、米国の一部ではLiBの採用が進んでいるという。これらのエリアにおける平均搭載容量は6~7kWh前後だが、今後はTesla Motorsが発表した搭載容量13.5kWhの「Powerwall 2」の登場などにより※、住宅で利用される蓄電池の平均容量も拡大すると予測している。

※「テスラが蓄電池市場に参入、家庭用では7kWhで約36万円を実現」

非住宅用は最大の7.1倍に

 住宅用、非住宅用、系統用のうち、2025年までに最も市場が拡大すると予測しているのが非住宅用の二次電池市場だ。2016年の市場規模は215億円だが、2025年には7.1倍の1533億円に拡大すると予測している。

 主な用途としては、商用電源や発電機と連携してオフピーク時に蓄電し、ピーク負荷時に放電するピークシフトやピークカット、非常用電源、自家消費用再生可能エネルギーの負荷平準化用途などを挙げている。

 非住宅用では特に急激な価格低下が進むLiBの需要が拡大している。今後北米・中南米を中心に電力需要のピークに応じた料金が加算されるデマンドチャージ対策のピークカット用途として、採用数が増加していく見込みだ。2020年以降は各エリアのデマンドレスポンスやVPP用電源としての需要が大きく拡大すると予測した。

 また、出力規模や出力時間によってはPbやNAS電池、レドックスフロー電池の需要も高まるが、Pbについては今後はLiBへの置き換えが進む見込みだ。NAS電池は日本を中心に出力1~2MW級の大型需要家で採用されており、今後さらに低コスト化が進むことで他エリアでも本格的な導入が見込まれる。レドックスフロー電池は日本では出力500kW~1MW級の中・大型需要家に、北米・中南米などでは出力100~500kW級の小・中型需要家への導入が進むとした。

 エリア別では現状、日本や北米・中南米の需要が大きい。日本はグリーンニューディール基金を背景に、非常用電源用途でLiBの採用が多いが、基金の終了に伴い同用途での採用は減る見込みとしている。北米・中南米では、特に米国でエネルギーマネジメントシステム(EMS)やデマンドレスポンスに対応するソフトウェアを搭載した電力貯蔵システムの利用がピークカット用途で広がっており、LiBを中心に需要が増加傾向にある。

 今後注目されるのはアジアで、非常用電源用途やピークカット用途(特に豪州)での採用増加によりLiBを中心に需要増加が予想される。今後は各エリアで補助政策の後押しにより、自家消費用再生可能エネルギーシステムの負荷平準化用途やそれを利用したピークカット用途での需要が増加するとした。

系統用でもLiBが主役に

 変電所や発電所などの系統設備、太陽光発電や風力発電に併設される電力貯蔵システム向けの系統用二次電池市場は、利用される電池が大型であることもあり、最も市場規模が大きい。2016年の市場規模は925億円で、2025年には4.5倍の4180億円に拡大すると予測した。

 需要増の背景としては、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う系統設備への負荷軽減や、容量増強など、系統安定化を目的に電力貯蔵システムの利用が増加している点がある。さらにスマートグリッドやマイクログリッドの構築において、域内の電力需給調整を目的とした利用や、周波数制御などを行うアンシラリーサービスでの利用も増えている。

 電池の種別では現状LiBの採用が多いが、一部のエリアではNAS電池やレドックスフロー電池も採用されている。LiBの主用途は系統設備におけるアンシラリーサービスだ。太陽光や風力発電システムに併設される電力貯蔵システムにおいても、小型であることやサイクル特性に優位性があるLiBの採用が多い。価格低下に伴い長時間出力用途や大規模案件などでの採用も拡大中だ。

 NAS電池やレドックスフロー電池は現状、実証実験での採用が中心だが、今後は系統設備の安定化用途で6時間以上の長周期用途はNAS電池、4時間程度の中長周期用途はレドックスフロー電池の採用が多くなると予測している。

 需要エリアとしては北米・中南米や欧州が大きく拡大する見込みだ。設置場所や用途、短周期・長周期を問わず、LiBの採用が中心になるとしている。日本はPbやNAS電池の導入が先行しているが、最近ではLiBを用いた実証件数が増加傾向にあり、2025年にはLiBの採用が主流になるとしている。

最終更新:5/10(水) 8:40

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