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レベルファイブのトップクリエイター陣が集結! エンディングセッションのすべて【レベルファイブ初の学生向けカンファレンス完全リポート その8】

5/10(水) 12:02配信

ファミ通.com

 2017年2月21日から2月28日まで、東京、大阪、福岡の3都市で開催され、合計約1500名もの学生が参加した “大学・短大・専門学校生向け クリエイターを目指す者たちへのカンファレンス”。

 つぎつぎとヒット作品を生み出し続けるレベルファイブだが、いったいどのような人たちが、どんなふうに企画や開発をしているのかは、これまであまり表に出てこなかった。だがこのカンファレンスでは、「将来クリエイターになりたい!」と強く願う学生たちに向けて、同社のトップクリエイター陣がふだんは目にすることのできない開発の舞台裏を見せてしまうという、貴重なセッションが行われたのだ。

 取材を行った2017年2月26日に開催された東京会場では、昼と夜の2回に分けて同内容のセッションが開催され、それぞれ席を埋め尽くすほどの学生たちが詰めかけるほどの盛況ぶりを見せる結果となった。

 ファミ通.comでは、これらの全セッションのリポート記事を紹介してきた。最後に、本カンファレンスを締めくくったエンディングセッションの内容についてお伝えする。クリエイターになることを夢見て集まり、思い思いのセッションに参加した直後の学生たち。彼らに向けて、レベルファイブのトップクリエイターたちが最後に語ったのは、“クリエイター”という仕事の魅力だった。

●レベルファイブのクリエイターが胸に抱く想い
 エンディングセッションに登壇したレベルファイブ代表取締役社長/CEO日野晃博氏は、「カンファレンスを終えて感じたのは、やはり、すべてのセッションを学生さんたちに見てほしかったことでした」と、濃密なカンファレンスへの感想を語った。

 “大学・短大・専門学校生向け クリエイターを目指す者たちへのカンファレンス”。そこには、日野氏の“クリエイターという仕事の魅力を伝えたい”という気持ちがあったのだろう。東京会場でのカンファレンスは6つのセッションが行われたが、タイムテーブルでかぶってしまうセッションもあり、1日ではすべてのセッションに参加しきれないボリュームがあったためだ。

●クロスメディアプロジェクトに関わる栗秋寿彦氏、“職種に関わらない仕事”を語る。
 エンディングセッションでは、登壇した全クリエイターから順番に、学生に向けてのメッセージが語られることとなった。まずは、レベルファイブが展開する“クロスメディアプロジェクト”で、玩具のデザインにも携わるプロジェクト推進部のディレクター栗秋寿彦氏が、自身の入社のきっかけと、現在社内で携わっている仕事の“幅広い魅力”について語った。


 「僕の大学の専攻は教育学部で、デザインとかプランニングの専門的な勉強はしてきた訳ではなかった。でも、就職活動のときに、“ゲームを作っている会社に挑戦してみよう”と思った結果、ゲーム業界に入ることができた」と話した栗秋氏。

 ゲームを作る会社に挑戦しようと思った理由は、その当時、栗秋氏が好きだった作品が、プレイステーション2で発売された、レベルファイブのRPG『ダーククロニクル』だったのだという。デザイナーとしてレベルファイブに入社したが、いまはゲームのデザインだけではなく、アニメや映画などの企画や設定にまでも携わることができているのだという。

 「レベルファイブは職種に関わらず、さまざまな仕事に携われる会社なので、自分の得意なことを伸ばすのはもちろん、自分では思いもよらない楽しいことを、きっと見つけられると思います」と、学生に向けて、その楽しさを率直に語る姿が印象的だった。


●サウンド担当の西郷氏が語る。“クリエイティブな業種は色あせない”
 『妖怪ウォッチ』シリーズで作曲を担当するサウンドコンポーザーの西郷憲一郎氏は、「僕はいま、入社して8年目です。8年前は皆さんと同じように会社説明会のような所でクリエイティブの会社ってどんな世界なんだろう? と見に行ったのを思い出します」と、入社したころの思い出を、学生たちに披露。

 西郷氏は、その当時から“クリエイティブに関わることは本当に楽しそうな仕事だ”と感じており、8年経ったいまでも、その気持ちは変わらないという。

 「会場にいらっしゃった皆さんも、ぜひクリエイティブの世界に来てほしい」と力強く訴えかけた。

●プログラマー森氏が語った“ひとつの事にとらわれず、思ったことを実現する”ことについて
 続いて、『妖怪ウォッチ』シリーズを始めとする、数多くのレベルファイブ作品で、プログラムディレクターを務めてきた森雄二氏からのメッセージ。森氏は、レベルファイブに入社して、強く思ったことがあるのだという。

 それは、「私は中途入社で入社したのですが、レベルファイブに入って思ったのは、“自分がやりたい”と思ったことをやれる機会がたくさんある会社」だということだった。

 森氏はゲームプログラマーだ。だが、プログラムだけを行うのではなく、自分が思ったアイデアを実現するために、企画にも携わっていると語る。ひとつのことだけではなく、多角的に作品作りに関わる。森氏は、「レベルファイブは、ゲーム作りの醍醐味を味わえる会社」だと紹介した。

 「今回のセッションで、少しでもクリエイティブの仕事に興味を持っていただけたなら」と、その魅力をストレートに語った。

●赤坂氏の“子どものころから変わらない、ゲームを作りたい”という気持ち
 『レイトン』シリーズや、『イナズマイレブン』シリーズなど、レベルファイブを代表し、多くのファンに愛され続けるタイトルを手がけた専務取締役/CTO 赤坂泰洋氏は、「自分も皆さんと同じ歳のころから、ずっとゲーム作りをしてきました。気がつけば、20年以上も作り続けています」と話す。

 ゲーム業界やクリエイターに憧れる若き学生を前にして語られた赤坂氏の“20年以上ゲームを作り続けている”という赤坂氏の言葉には、“ゲーム作りを仕事にできることの楽しさ”が滲んでいたように感じられたほど。

 「新しい人が入社して、また“新しい空気”ができるのは、すごくすてきなことだと思う」と、若い学生たちとも、その楽しさを分かち合いたい、とシンプルに力強いエールを送った。

●本村氏が思う“若い人とゲームを作る”ことの喜び
 『妖怪ウォッチ』シリーズや『二ノ国 白き聖灰の女王』のディレクターを務める本村健氏は、学生を前にして、高校生のころから“ゲーム会社に就職をしたい”という決意をしていたと話す。

 本村氏は、まず専門学校に入ってから、紆余曲折あってデザイナーとしてゲーム会社に就職。振り返れば19歳のころから、約20年間クリエイターとして仕事をしてきたことになるのだという。

 「やはりゲームを作るということは、楽しいだけではなく、厳しい面もありたいへんな仕事だとは思います」と、多くの現場でゲームを作り続けてきた本村氏は語った。しかし、「そうした困難さ以上に、おもしろいことや、楽しいことが豊富です」と、クリエイターとして生きることが、いかに充実感のあるものなのかを伝える。

 かねてから本村氏は、「ゲームは若い人が作るべきだ!」と思いながら仕事をしているのだという。

 『妖怪ウォッチ』シリーズの製作現場でも、若いスタッフといっしょにゲームを作っている本村氏は、その若いアイデアに触れて、ともにゲームを作り上げていく現場が楽しく、だからこそ、学生の皆さんのような若い人たちにクリエイティブの世界に入ってきてほしいと思っているのだと語った。

●梁井マップチーフの思う“世界観を作る楽しみ”
 本村氏と同じく、『妖怪ウォッチ』シリーズや『二ノ国 白き聖灰の女王』においてアートディレクションを担当した、制作統括2部 ゼネラルマネージャーの梁井信之氏。

 「僕はふだん、2Dを中心にキャラクターと背景を統括しているのですが、入社当時は3Dのデザイナーでした」と、意外な経歴を伝えた梁井氏。それがいまではアートの統括として、主に背景を中心にディレクションを任されている。

 そんな梁井氏だが、じつは背景以外にも、『妖怪ウォッチ』シリーズのキーアイテムである“妖怪ウォッチ”のデザインや、新作の『メガトン級ムサシ』のメカデザインまでも担当しているのだということを明かした。

 こうした幅広いクリエイティブに携わっている梁井氏は、「レベルファイブでの仕事は、ひとつの作業にとらわれない、いろいろな楽しみがある」と、改めて世界観をデザインする多岐にわたる仕事の楽しさについて、学生に向けて強く語っていた。

●“若くても実力があるからこそ託された大仕事を経て感じたこと”を語る東村氏
 続いて梁井氏とチームを組み、『妖怪ウォッチ』シリーズで背景を担当した、マップアートチームの東村有里氏からのメッセージが。

 「私がこの会社に入っていちばん印象に残っているのは、入社して3ヵ月目くらいで、作品のパッケージイラストを任せてもらえたことです」と、東村氏は入社間もない時期に担当した大仕事について話した。

 当時は、「入って間もない新人に、こんな重要な仕事を任せる……なんて会社だ!」 と思ったのだという。だが、後になって聞いてみると、ちゃんと東村氏の実力を評価して、パッケージデザインという大役を任せられたのだと知る。

 「キャリアは関係なく、新人であろうが実力をちゃんと見て判断してくれる。挑戦させてくれる」と嬉しそうに語った東村氏。いまではさまざまな作品で、背景のデザインを描き出している。

●数々の妖怪を生み出す田中氏のエール。“努力して成し遂げること”
 ここで、『妖怪ウォッチ』シリーズの妖怪デザインを手がける、キャラアートチームチーフの田中美穂氏から、力強いメッセージが。

 田中氏は子どものころから絵を描くのが好きで、ゲームも大好きだったそうだ。いつかゲーム会社に入りたいと思って専門学校に進学したが、そこで「現実を知った」のだと語った。

 専門学生だったころに、「自分より絵が上手い人や、頭のいい人もいて、私なんてきっとゲーム会社のデザインなんて入れないだろうなと思っていた」と強烈に感じたという。

 おそらく、会場に集まった学生たちの中にも、同じような気持ちになっている人がいたかもしれない。だが田中氏は、「それでもチャレンジすれば、きっと道は繋がる」と信じて頑張ったのだそうだ。

 その後、ゲーム会社でインターンを体験したという田中氏。ここでがんばったことが評価され、レベルファイブに入社したというエピソードを明かした。レベルファイブの創立時からのメンバーとして、いまでは『妖怪ウォッチ』の人気妖怪コマさんを始めとする、多くのキャラクターを生み出している。

 それもすべてが、「チャレンジしたからこそ」という想いがあったからこそ、合格に繋がったのだろう。

●潮田氏が思う“一家で楽しめる裾野の広さ”
 現在、スマートフォン用のオンラインゲーム『ファンタジーライフ オンライン』を開発している、プランニングチームディレクター潮田太一氏が、愛するゲームについて語った。

 「業界の先人たちが作ったゲームを子どもの頃からプレイしてきたことで、大げさではなく、自分はゲームのおかげで夢を持てた」と話した潮田氏。そうした夢を抱き続けて生きてきたことで、いつの間にかゲームをつくる仕事でご飯を食べられるようになっていた」のだという。

 きっと、そんなゲームを好きだと思う気持ちを仕事にするために、多くの苦労もしたのだろう。だが、「とにかく、いろんな人にゲームを届けたい」という気持ちが非常に強く抱いていると潮田氏は語る。

 実際に潮田氏のまわりにも、レベルファイブ作品のファンがたくさんいるという。「自分で言うのはおこがましいですが、弊社は魅力的なタイトルを数多く持っていて、いまは本当の意味で、大人も子ども幸せになれるゲームを届けられそうな気がしている」と潮田氏。「もし皆さんの中に、同じ夢を持っている方がいたら、ぜひいっしょにこの業界で働きましょう!」と熱く語った。

●数々の名キャラクターを生む長野氏のメッセージ。“若さゆえの根拠の無い自信を忘れないで”
 最後に、レベルファイブ作品のメインキャラクターを数多く生み出してきた、キャラクターデザイナーの長野拓造氏。「いつもこういう場所で何を話すか悩みます」と前置きしつつも、とつとつとクリエイターとして働く気持ちを、学生に向けて静かに語った。

 長野氏には、若い頃「大人たち見てろよ! 俺らの世代が日本のコンテンツを変えるんだ! おもしろくしてやるんだ!」という“根拠のない自信”が、自分の中にあったのだという。

 しかし、今回のセッションで、大人としてクリエイターを目指す学生たちと触れ合ったことで、気づけば自分こそが、“若いころに変えてやろうと思っていた大人”になってはいないだろうか……? と感じていたことを明かした。

 目の前の学生に向けて、「いまの皆さんの魅力は、この“根拠の無い自信”があると思います。それを忘れないようにしてほしい」とメッセージを放つ長野氏。

 「ここにいる学生の皆さんも、いつかゲームクリエイターとして、ファミ通にいっしょに載るようなクリエイターになりましょう」と語った。

●クリエイターを目指す者たちへ
 メッセージの後には、実際に今回のセッションで登壇したメンバーの中でも、新人に近い入社数年のスタッフの話や、最近目覚ましく活躍をしているクリエイターの話をもう少し聴いてみたい、という日野氏からの提案が。


 ここで、入社して2年目の東村氏と、『妖怪ウォッチ』シリーズのサウンドディレクターに抜擢された西郷氏のふたりから、“入社して印象深かったこと”が語られた。

 東村氏が語ったのは、ズバリ“学生が持つ有り余るエネルギー”の魅力だった。入社面接の際に、作品を提出する審査を受けた学生時代の東村氏は、なんと、自分の情熱を表現するために……“畳一畳分もの作品を、会社まで背負って提出した“のだという! 

 「こんな有り余るエネルギーをぶつけることは、学生の頃にしかできないのではないかと思うので、悔いのないように、精一杯頑張って情熱を表現してほしい」と、学生たちを驚きのエピソードで応援した。

 続いて、日野氏に「レベルファイブの出世頭代表」というフリで紹介された西郷氏。なんでも、『妖怪ウォッチ』シリーズの作曲を担当するうちに、社内では“先生”と呼ばれることもしばしばあるくらいだと日野氏。

 「“先生”だなんて、言われてないですよ」と照れつつも西郷氏は、入社当初には、自分が本当にやりたいことを模索していたという経験を語った。

 入社試験の際に、曲を提出して合格したことから、「僕の担当はBGMなのかな?」と勝手に思っていたという。しかし、入社して最初に与えられた仕事は“効果音の作成”だったそうだ。

 当初は、効果音などの作成を行ったことがなかったため、不安に思う気持ちが強かったと語る西郷氏。加えて、サウンドチームは、なかなか新しい人材が入ってこない部署なので、歳が離れた先輩に囲まれながらの作業も緊張したらしい。

 やがて効果音制作の奥深い世界に魅了されていった西郷氏だったが、入社3年目に差し掛かったとき「やっぱりBGMでやっていきたい」という思いが芽生えたのだという。

 そのとき、西郷氏は行動に出たそうだ。日野氏に自作のデモテープを渡し、「自分の曲はどうですか? ぜひ作曲の仕事をやらせてください!」とプレゼンテーションを行ったのだ。

 その後、すぐに作曲に携われたわけではなかった。だが、『妖怪ウォッチ』の作曲担当を決めるために、社外の作曲者が参加するコンペが行われた際、社内の人間として参加させてもらえたという。

 西郷氏は、この並み居る作曲者がしのぎを削るコンペを見事に勝ち抜き、『妖怪ウォッチ』の作曲を担当することになったというのだ。

 「まったく仕事として曲を作ってこなかった人間に、『妖怪ウォッチ』のような、アニメ化や映画化が決まっているような大きな作品の担当をさせるとは思わなかった」と、当時抜擢されて驚いたことを振り返って語った。

 日野氏は、この西郷氏のエピソードを受けて、「自分がやりたいことへの、しっかりとした目的を持って、それを実現しようと、いろいろな人にアプローチをした結果だ」と評する。そして、これこそがクリエイターの努力すべきことではないかと話す。「西郷の実力と努力を認めなくては、レベルファイブはチャンスがある会社だ、なんて絶対に言えないだろうな」という気持ちになったという。

 西郷氏のやる気もさることながら、それを受け止める場がきちんと会社にあるというのが、レベルファイブの魅力なのだろう。


 東村氏と西郷氏の入社してからのエピソードが披露されたが、では長年クリエイターとしてゲームを作り続ける仕事の中には、どのような魅力があるのかも気になってしまうところだ。その疑問に答えるかのように、日野氏は、レベルファイブで長年ゲーム制作街道をひた走ってきた、『妖怪ウォッチ』シリーズのディレクター本村氏に質問した。

 ゲーム作りについて問われた本村氏が学生を前に話したのは、率直に“たいへんなスケジュールの中で、ゲームを作り上げる感動”だった。

やはり、膨大な作業を積み重ねていくゲーム制作は、しんどいことが多く、“修羅場”もしばしば訪れるものらしい。だが、この修羅場を乗り越えたときこそ、自分が“レベルアップ”している気がすると同時に、“いい物”ができ上がるのだという。

 自分が考えたアイデアをゲーム中にうまく落とし込めたときは、それはもう“すごく気持ちいい”瞬間なのだと語る本村氏。さらに、ゲームが実際に発売されてから、プレイヤーが自分が狙ったところでウケているのを見聞きしたときなども、最高に気持ちがいいのだそうだ。

 締め切りの中で、楽しい仕掛けを作る喜び。本村氏は、“いい物を間に合わせた喜び”が最も大きいと語った。かつてプログラマーだった日野氏も、「学生の皆さんには想像しづらいかもしれませんが」と前置きしつつ、ゲームが完成する“マスターアップ”の瞬間の解放感は、何物にも代えがたいすがすがしさだと話す。

 最後に日野氏は、これからゲーム業界を目指すなら、「例え会社に2、3回落ちたとしても、それで諦めずに、格好つけてクールにしているのではなく、“自分に全て任せてください!”とアピールするくらいに“自分を表現する思い”を持つ人であってほしい」とメッセージを送る。

 まるでレベルファイブという、自由度が高く、新しいことにチャレンジを続ける会社の“熱”を感じさせられるような言葉を学生たちに伝え、エンディングセッションの幕は下ろされた。

最終更新:5/10(水) 12:02
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