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商工中金が「198億円の不正融資」経産省が業務改善命令

ZUU online 5/10(水) 17:30配信

中小企業専門の唯一の政府系金融機関である商工組合中央金庫(商工中金)が9日、度重なる不正融資が理由で経済産業省など3省庁から業務改善命令を言い渡された。

世耕経産相は同日の記者会見で、「役員の減給処分だけで済む話ではない」と述べ、全容解明は言うまでもなく、直接関わった担当者の処分や経営陣の責任の明確化、組織体制の抜本的見直しを求めるとした。改善命令は行政処分の一種であり、商工中金への処分は1936年の設立後で初めて。

■不正融資200億円と第三者委員会が報告

報道によると、不正融資は2015年10月発覚し、12月に設置された第三者委員会が調査してきた。第三者委員会は4月25日、調査結果を発表した。融資業績を伸ばすため「危機対応融資」制度に基づき、低利融資要件に合うように、業績悪化などの手法で、取引先の財務諸表の売上高や純利益を書き換えたりした。

不正融資は2008年以降、92支店中35支店816件に上り、不正な融資額は198億円、利子補給は1.3億円に上る。取引先760口座の資料が改ざんされ、うち348口座は、制度の条件を満たしていなかった。第三者委はしかし、「経営陣による直接的な隠蔽の指示はなかった」とも結論づけている。

経産省と財務省はその時点で、商工中金に再発防止策の実施を指示。安達健祐社長らは会見で、役員報酬の一部を自主返納すると発表した。また関係した元役員についても一部返納を求めるほか、不正にかかわった職員を厳正に処分するとしていた。

■6月9日までに業務改善計画策定指示

改善命令は財務省、金融庁も含めて3省庁から出され、1カ月後の6月9日までに再発防止に向けた業務改善計画を策定、提出するよう命じた。全国規模での書類改ざんや不正な隠蔽を重大視して、経営陣の責任明確化と再発防止のため、一部にとどまっている調査を不正の舞台となった「危機対応融資」全体に広げる。

今回出された業務改善命令によって、商工中金は役員や職員の処罰にとどまらず、組織全体の見直し迫られることになる。世耕経産相は、第三者委の調査についても、「全体の12.6%のサンプル調査にすぎない」「全件調査をしっかりやり、問題の所在と根本原因を特定することが重要だ」と述べている。

今後の対策として同相が言うように、(1)直接関与した担当者の処分(2)役員の管理責任の明確化(3)ガバナンスの抜本的強化に向けた組織体制の見直しが進むだろう。

■格付けの評価は高位だったが……

商工中金は半官半民の政府系金融機関で、2007年6月以降、株式会社になった。その時点で、5年から7年後に民有化(民間株式会社)するはずだったが、未だに実現していない。商工中金は、ほかの政府系金融機関が融資業務に限定されているのに対して、預金の受け入れや債券の発行、短期金融など幅広い金融サービスを行ってきた。

日系格付け機関はこぞって、商工中金をAAクラスと高い評価をしてきた。それを裏切る
長年にわたる不正融資の発覚は、決して許されるものではない。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)

最終更新:5/10(水) 17:30

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