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サプライチェーンを丸ごと支えるデジタル基盤、中小は年20万から利用可能

5/10(水) 10:55配信

MONOist

 富士通は2017年5月9日、設計から製造、保守までモノづくりのあらゆる情報をつなげるプラットフォームとして、モノづくりデジタルプレース「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA(以下、コルミナ)」を発表した。2020年度にコルミナ関連ビジネスで2000億円の売上高を目指すとしている。

【コルミナサービスの提供予定機能などの画像】

●日本の製造業が求める9つのポイント

 富士通ではもともと、自らが製造業としてノウハウを蓄積しながら、iCADなど製造業関連のアプリケーションを30年にわたって展開。現在までに1万社以上が富士通のソリューションを使っている状態だという。しかし、「最近ではわれわれに対する相談も1つ1つの工程に関するソフトウェアの相談ではなく、設計から製造、保守・保全を含めた工場全体や会社全体を横断するような話が増えてきている」と富士通 執行役員 産業ビジネス本部長 藤原克己氏は述べる。

 さらに、同社の顧客700社を調査したところ、日本の製造業のデジタル革新ニーズは主に9つのポイントにしぼられるという。「これらを実現するためには、新たに情報連携を実現できる基盤が必要になる。そういうモノづくり基盤として新たに『コルミナ』をリリースする」(藤原氏)。

●主に4つの要素で構成される「コルミナ」

 富士通が新たに展開する「コルミナ」は複数のツールやサービスで構成されるモノづくりプラットフォームで、主に製造業向けの多種多様な業務サービス群「コルミナサービス」、作業員のバイタルや製造物の位置などのセンサー情報、設備機器の稼働情報を収集・処理する「コルミナエッジ」、コルミナサービスとコルミナエッジを連携させる情報基盤としての「コルミナプラットフォーム」などで構成される。

 さらに、企業や人材などのマッチングなど、オープンイノベーションやコラボレーションの場なども提供していく方針だ。ちなみに「COLMINA」は「COLlaborative Monozukuri INnovation Agent」の頭文字で作った造語である。

●製造業向けアプリケーション「コルミナサービス」

 「コルミナサービス」は、設計や製造、保守系のアプリケーションをサービスとして提供していく仕組みである。製造業のサプライチェーンの全体像を視野に入れたアプリケーションの提供を進めていく計画である。まず2017年7月以降に富士通のサービス25種を「コルミナサービス」として提供する予定。順次サービス数を拡大し、現状では150種類まで増やす計画があるという。これらは自社サービスだが、他社とも提携し、CADやPLM、MESなど他社アプリケーションも徐々に対応していく。

●「つながる」技術にIoTやAI技術を加えた「コルミナプラットフォーム」

 「コルミナプラットフォーム」は、データを収集、分析する基盤としての役割を担う。富士通が既に自社内のデジタル基盤として利用しているFTCP(Flexible Technical Computing Platform)と、異種環境を接続する標準プロファイルなどで構成される「つながる技術」に、IoTやAI技術などを加え、データの構造化や分析などを実現する。

 今後は、コルミナプラットフォームと他社のソリューションやプラットフォームとの標準インタフェース機能も提供する予定。これによりサプライチェーン全体での設計から生産までの情報をつなげるようになる。さらに、同基盤を活用することでモノづくり企業の熟練工などが持つ、設計や製造、保守などに関する知識や知見の共有、人材の発掘やマッチングなど、企業間の協業などにもつなげる方針だ。「コルミナプラットフォーム」の提供予定時期は2017年7月以降としている。

●現場情報を接続可能な「コルミナエッジ」

 「コルミナエッジ」は生産現場のさまざまな機器やセンサーとの接続を実現するエッジ端末を提供する仕組みである。他社のエッジプラットフォームとの連携を実現する機器やシステムを提供する他、エッジコンピュータ機器はグループ会社のPFUなどを活用し専用端末を提供することなども計画する。「コルミナエッジ」の発売予定時期は2017年度下期(10月)以降とする。

●中小企業向けは年間20万~30万円に

 富士通では、これらを提供することで、製造業にとっては、新サービスの提供やサプライチェーンの高度化、マスカスタマイゼーションの実現、オープンイノベーションの実現、モノづくりノウハウの伝承などに貢献が可能だとする。

 富士通 執行役員 産業・流通システム事業本部長 東純一氏は「将来的に製造業のビジネスモデルが変化し、製造機械やノウハウを一時的に貸し出すクラウド製造サービスのような世界が生まれるかもしれない。その時、あらゆる製造工程が、1つの情報基盤でつながるのが必須となる。日本の製造業が従来の強みを生かしつつ、そういうつながる環境を実現できるように支援していきたい」と述べている。

 製造業に向けたIoTプラットフォームは2016年以降乱立しており、エッジに近い領域ではファナックや三菱電機などの生産財メーカーが、上位ではクラウド系のITベンダーなどが提案を進めている状況だ。これらのプラットフォーム同士の連携などが必要な状況も生まれているが「現状では話を進めているというステータス。優先順位としては実際に顧客企業が使っているプラットフォームや浸透度の高いものから早く連携が取れる状況にしていく。エコシステムを構築する方針なので、基本的には囲い込むことは考えておらず、オープンにやる」(東氏)という。

 プラットフォーム間の差別化も難しい状況も生まれているが、東氏は「まずは、エンジニアリングクラウドと、AI、IoTやビッグデータ分析のセットを基盤を通してすぐに使えるということが特徴だ。加えて、既に富士通内で培ってきたノウハウがあり、設計のバーチャル化などモノを作らないモノづくりや、スーパーコンピュータ『京』を活用した解析技術など、さまざまな知見をプラットフォームに組み込めるということが差別化につながる」と述べている。

 価格は、大手企業については既存のシステムと組み合わせた形でカスタムでシステムインテグレーションを行うとしているが、中小企業向けについては「現実的に中堅中小企業が使える価格帯ということで、20万~30万円程度から利用できるようにしたい。製造業は、モノの流れを見ると今もさまざまな企業がつながっている状態で、情報基盤的にもつながることで、大手企業にとっても、中堅中小企業にとってもメリットを作り出せる」と東氏は述べている。

最終更新:5/10(水) 10:55
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