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トヨタ、2期連続減益予想 研究開発費1兆円超は維持

5/10(水) 20:56配信

ITmedia ビジネスオンライン

 トヨタ自動車が5月10日に発表した2017年3月期連結営業利益は、前期比30.1%減の1兆9943億円だった。日本やアジアを中心に販売台数を伸ばしたが、円高や米国の販売費増加などが響いた。18年3月期は販売台数の減少や原材料費の増加などを見込んでおり、2期連続の減収減益となる見通し。原価改善など競争力強化の取り組みを加速し、回復を目指す。

【今期の経営方針を語る豊田章男社長】

●新型車が好調、収益確保は苦戦

 17年3月期の売上高は2.8%減の27兆5971億円、純利益は20.8%減の1兆8311億円だった。グループ総販売台数は1.6%増の1025万1000台。日本や東南アジア、欧州で投入した新型車が好調に推移し、原油安で需要が低迷する中近東の落ち込みをカバーした。

 販売は増えたものの、収益確保には苦戦。日本では「プリウス」「ルーミー・タンク」「C-HR」といった新型車がけん引し、連結販売台数を10.4%伸ばしたが、為替変動の影響や経費の増加で利益を減らした。

 海外では、北米の販売は前期並みだったが、販売店に対するインセンティブ(販売奨励金)の増加などの費用が負担に。欧州はC-HR、「RAV4」が好調だったものの、現地通貨安の影響などにより営業赤字に陥った。アジアでは、インドネシアで「CALYA」「シエンタ」「IMV」が販売を伸ばしたが、中近東向け輸出の減少などにより、減益だった。

●投資は高水準を維持

 18年3月期の業績予想は、売上高が前期比0.4%減の27兆5000億円、営業利益が19.8%減の1兆6000億円、純利益は18.1%減の1兆5000億円。グループ総販売台数はほぼ横ばいの1025万台を計画している。アジアなどで増加を見込むが、新車効果が一巡した日本や、販売環境が厳しい北米で減少する見通し。

 営業利益の減益要因は、北米や日本の販売減少、北米の販売費増加など、販売面の影響が大きいと予想。為替レートを前期よりも米ドルで3円円高に設定したことから、為替の影響も織り込んだ。原価改善の効果も見込むものの、原材料価格高騰によるコスト増を織り込み、増益効果は小幅にとどまる見通しだ。

 減収減益の局面でも、投資規模は高水準を維持していく。研究開発費は4期連続の1兆円超え、設備投資も増額し1兆3000億円とする計画だ。豊田章男社長は「目先の利益確保を最優先するのではなく、未来への投資も安定的、継続的に進めていくという意思が表れた決算」と語った。

 会見した豊田社長と永田理副社長の主な発言は次の通り。

 ――2期連続の減収減益予想。決算をどう評価するか。

永田氏 18年3月期の見通しは大変厳しい数字になっている。これが(為替の影響を除いた)「等身大の実力」だと思うと、悔しい思いをしている。これでは絶対にいけない。収益向上のための施策を強力に推進し、最大限の挽回に努めたい。例えば、作る人も売る人もお金をもっと賢く使うように徹底したい。他社の取り組みからも学んでいく。これまで打ち出してきた戦略をフル活用して競争力を磨き直し、いい車づくりを強化したい。

豊田氏 会社の構造的な問題と為替という一過性の問題の2つがある。構造的には、販売台数1000万台を超えて大きくなりすぎたことが問題。それを解決するため、昨年4月にカンパニー制を導入し、商品軸、地域軸による取り組みに着手している。しかし、これまで機能別に分業してきたため、形を変えてもまだ結果は出ていない。時間をいただきたい。課題は明確になった。仕事のやり方を変えるレベルとスピードを上げていくしかない。2期連続減益はスポーツだと連敗になる。この期で分かったことを踏まえ、来期につなげていきたい。

 ――主力の米国市場の見通しは。

永田氏 17年の米国新車市場は1720万台程度と、前年より若干減ると見込まれているが、依然として大きく大事な市場。一方、インセンティブが上昇傾向にあり、市場の競争環境は激化している。

 今期は、モデルチェンジする「カムリ」やC-HRなど新型車の販売を促進するほか、需要が拡大しているスポーツタイプ多目的車(SUV)、ピックアップトラックの生産能力をフル活用して供給改善したい。そういった取り組みによって、前期並みの245万台の販売を見込んでいる。きめ細かい需給管理、適正在庫の維持によってインセンティブは比較的少ない額で頑張ってきた。これからもカムリの新車効果、SUVの供給改善を踏まえ、過度なインセンティブ競争に陥らないようにコントロールしていきたい。

 ――米国の政治リスクについて。

永田氏 新政権が打ち出す通商政策、税制がどうなるか見通すのは難しい状況。動向を注意深く見ていきたい。しかし、どの国でもその町一番の会社を目指しており、米国でも同じ思いでやっていくことは変わらない。良き企業市民として米国に貢献したい気持ちを理解してもらえるように努力する。また、町一番の会社になるためには、その市場で競争力を維持・向上させないといけない。米国の各工場でモノづくりの競争力を上げるために努力したい。

 ――メキシコ工場建設は計画通りか。工場進出の考え方は。

永田氏 現在、新工場建設は進行中。進出すると決めたからには、よほど大きな環境変化がない限り、雇用や地域社会に対する責任を果たしていく。

豊田氏 進出を決定した以上、町の利益、人々の笑顔を考えることがその国への貢献につながる。また進出後、持続的に企業活動を発展させるためのキーワードは、コンペティティブネス、つまり競争力だ。数字で判断する生産性や労務費ではなく、改善活動を推進できる人材がそろっているか、そして地域とともに成果を出せるのかを重視している。会社と従業員、地域社会が支え合うことを目指している。それができる人材がいることこそが競争力。今後も各地域と連携し、持続的成長に向けて努力していく。

 ――今後も高水準の投資を続けていくのか。

永田氏 必要なものはきちんとやっていく。そのための原資をいかに稼ぎ出すかに注力し、必要なものに投資できる強靭な収益体質にしたい。新しいビジネスの芽を育てるためには戦略的な投資が必要になる。

 ――国内販売は減少の見通し。需要喚起策は。

永田氏 中長期的には人口減少、少子高齢化で市場縮小が見込まれ、新しい観点ではシェアリングサービスなど、保有しない形の使い方も出ている。そういった変化を捉えて対応しないといけない。そのために販売店と共に施策を打っている。デジタル化推進や地域に合った取り組みなどにより市場活性化を図っていく。また、ダイハツ工業との協業などにより、魅力ある商品を投入する。国内販売150万台にこだわっていきたい。