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恐るべきSNS「写り込み」、知らぬ間に行動モロバレ…肖像権の侵害じゃないの?

5/10(水) 10:19配信

弁護士ドットコム

居酒屋で開かれた同僚の送別会に参加している夫が、Facebookにアップした写真を見て、都内在住の会社員・J子さん(30代)は驚きのあまり、なんども見返してしまった。その写真には、夫のグループのほか、J子さんの勤務先の社員2人の姿もはっきりと写り込んでいたからだ。

2人とも男性で、J子さんとは別部署ながら、顔や名前は知っている。その席にいるのは、2人だけで、おそらく仕事の打ち合わせだった可能性が高い。「合コンなど知られたくないシチュエーションではないと思うんですが、ただ、積極的に知って欲しい状況ではないんじゃないでしょうか」。

送別会だけに、その場で写真を撮ることはごく自然な行為だろう。しかし、それを不特定多数の人が閲覧できるSNSにアップすることは、偶然に写り込んでしまった人のプライバシーを侵害しているとは言えないだろうか。今田健太郎弁護士に聞いた。

●肖像権の侵害になるのか?

「フェイスブックやインスタグラムの普及により、個々人が、写真や動画などを気軽に世の中へ向けて発信できるようになりました。反面、そこに写り込んでいる人のプライバシーを侵害していると考えられるケースがあります」

場合によっては、法的な問題になることもあるのか。

「むやみに、自己の容貌等を撮影されたり公表されたりしないよう求める権利のことを『肖像権』と言います。場合によっては、肖像権を侵害されていると認められるケースもあるでしょう。

肖像権の侵害に当たるかどうかは、(1)撮影された場所(2)撮影された人物の状況 (3)撮影者の意図 (4)公開の方法、などの各要素を考慮して判断することになります。

(1)の撮影場所ですが、公道であれば抵抗感は少ないと考えられます。一方で、飲食店やホテル、遊興施設など、プライベートな要素を含む場所であれば、公表を好まないケースが多いと思われます。

(2)については、撮影された人物が、単に歩行しているだけのケースに比べ、異性と連れ添っているとか、酔っ払った姿などは、一般的に公開を好まない状況と言えるでしょう。さらに、(3)撮影者の意図として、風景を撮影していた際、偶然、背後に写り込んでしまったケースに比べ、あえて、背景にいる人物を撮影する目的だった場合には、違法性が高まります。

最後に(4)公開の方法として、特定のグループ内に送信された場合と比べ、SNSなど広く世間一般に公開する方法で投稿された場合には、被害が拡散するおそれがあり、より深刻です」

●SNSでも「肖像権に配慮した投稿を」

もし「肖像権を侵害された」と考えた場合には、どのような対応を要請できるのだろうか。

「前述した4つの点を総合的に考慮し、肖像権侵害と評価できる場合、まずは話し合いで削除等を要請することになりますが、法的措置による差止請求(Web上の画像削除等)や、心理的負担に対する慰謝料請求が認められる場合もあります。

こうしたトラブルを回避するため、フェイスブック等にアップする前に、映り込んでいる知人の同意を得ておくことや、背景の人物が特定されないよう加工する、あるいは、投稿した写真を見ることができる範囲を友人だけに限定する、といった配慮が必要であると考えます。

居酒屋や娯楽施設などは、各自がプライベートを満喫する場所ですので、楽しい思いで撮影したはずの写真が仇とならないよう、状況を見極め、肖像権に配慮した投稿を心がけましょう」

【取材協力弁護士】
今田 健太郎(いまだ・けんたろう)弁護士
広島県出身。一橋大卒。鹿島建設勤務。広島簡易裁判所民事調停官(非常勤裁判官)。平成25年度広島弁護士会副会長。現在、日弁連災害復興支援委員会副委員長。法律相談におけるカウンセリングの役割を重視している。「2010 頼れる身近な弁護士 全国103名リスト」遊学社掲載。
事務所名:弁護士法人あすか東広島事務所
事務所URL:http://asuka88.jp/

弁護士ドットコムニュース編集部