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「収益を一時的に守るために将来投資を抑制しない」というスバルの意志

5/10(水) 17:37配信

ニュースイッチ

「2ケタを維持できるブランドにはまだなっていない」(吉永社長)

 2018年3月期連結業績予想を発表したSUBARU(スバル)。営業利益は4100億円で前期比0・2%減とわずかながらマイナス。吉永泰之社長は「収益を一時的に守るためだけに将来投資を抑制することはしない。優先順位をつけやるべきことはやる」と話す。競争激化による販売奨励金の増加もあるが、電動車両など次世代車の開発に向けた試験研究費を上積みするためだ。一方、新車販売が伸び売上高は過去最高になる。

 世界販売は同4万1000台増の110万5500台と6年連続で過去最高を見込む。主要市場の米国は同2万100台増の68万7700台を計画。特に新型「インプレッサ」などが販売をけん引する。米国で金利が上昇するのを背景に車1台当たりの販売奨励金は同400ドル増の1850ドルを想定している。

 今期も営業利益率は2ケタ予想だが、吉永社長は「いい条件が重なっているだけで安定的に2ケタを維持できるブランドにはまだなっていない。実力をあげたい」と危機感も強い。そこで将来を見据えた開発投資を重視し持続的な成長を目指す考えだ。
 
 試験研究費は同198億円増の1340億円を計画。電気自動車(EV)や運転支援システム「アイサイト」などの開発費に充てる。

 「運転支援システム『アイサイト』を軸にスバル車の軸に究極の運転支援の実現を目指す。この延長線上にあるのが自動運転だ」(武藤直人取締役専務執行役員)。

 ぶつからない技術―。2008年5月に投入したアイサイトはスバルブランドの代名詞。世界で初めてステレオカメラだけで車や歩行者を検知し衝突事故を防止する機能を実現した。

 国内におけるアイサイト搭載車は非搭載車に対し、1万台当たりの人身事故発生件数が6割減、車両同士追突事故に限ると8割以上減少。アイサイト搭載モデルの世界累計販売台数は昨年末に100万台を突破した。

 米グーグルなど自動運転車の開発を進めるメーカーの中には、ドライバーが運転に関与しない無人自動運転車の実用化を目指す企業もある。公道での無人自動運転車の走行実験を認める各国の動きも活発化してきた。

 だが武藤専務は「無人運転が可能なくらいの技術レベルまで高めてはいくが、ドライバーの不在を想定した自動運転車は目指さない」という。

 ドライバーに“安心と愉(たの)しさ”を提供するスバル車にドライバー不在の自動運転はそぐわないからだ。

 自動運転技術の高度化を巡っては日系メーカーでは日産自動車がミニバン「セレナ」にイスラエル・モービルアイの画像処理技術を使い、渋滞時の自動走行を実現。海外競合なども経営資源を集中させ開発を進めている。

 これに対し武藤専務は「アイサイトはまだまだ進化する。自信がある」と断言する。アイサイト自体の性能向上はもちろん他のセンサーも使用し、対象物の認識精度を一段と高める。16年4月には日本IBMと組み、アイサイトが取得した走行データを効率良く管理できるインフラを構築。開発を円滑に進める土台もできた。20年には高速道路で車線変更できる自動運転技術の実現を目指すという。

最終更新:5/10(水) 17:37
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