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[社説]文大統領、国民と共に「国らしい国」作りを

ハンギョレ新聞 5/10(水) 12:57配信

 共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)候補が9日に行われた選挙で19代韓国大統領に当選した。文氏は開票序盤から優勢を続けて、自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補と国民の党の安哲秀(アン・チョルス)候補に比較的大差で勝利した。文氏の勝利で9年ぶりに政権交代がなされ、進歩(革新)系の野党は再び権力を委任され、多数の国民の夢と願いを実現する責任を抱くことになった。

 文氏の勝利は何よりも国民が「ろうそく革命」の過程であらわれた時代的な熱望を実現する舵取り役として「文氏と第一野党の共に民主党」を選択したという意味を持つ。「国らしい国を作る」という文氏のスローガンはそのような熱望を適切に反映したものだった。昨冬のろうそくデモに参加した大勢の市民は単純な政権退陣を越えて韓国社会の大改造を求めた。国際通貨基金(IMF)危機事態以降、進歩と保守の政権交代をたどりながら日増しに深化した両極化によって国民は深刻な苦痛を味わってきた。朴槿恵(パク・クネ)政権の国政私物化は、いっそう激しくなる不公正と「甲質(強者の論理)」社会、富は益々富み、貧は益々貧に向かうことへの国民的怒りに油を注いだのと同じだった。文政権の始まりは単純に3期目の民主政権を越えて総体的な国家改造、格差社会からの脱出に向けた大長征という意味を持つ。

「保守政権の国政私物化」に対する峻厳な審判

 今回の選挙結果はまた、朴政権の国政私物化、さらには李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵の両保守政権9年間に対する国民的審判の意味を持つ。洪候補が文氏に大きな票差で敗北したことによって伝統的な保守勢力は明確に退潮した。朴政権の国政私物化は保守政権の9年間に積み重なった弊害が腐りきって収拾がつかなくなったのだ。国民は今回の選挙で政治・経済・社会・外交安保など各分野の9年間の実情について厳しい責任を問うた。

 今回の選挙で憲政史で初めて与→野→与→野につながる二度の政権交代が完成したという点も注目に値する。1997年の大統領選で金大中(キム・デジュン)氏の大統領当選で初の野党への政権交替がなされた。2007年には元与党だった李大統領とハンナラ党に再び政権が移った。それから9年余りの歳月が流れた後、野党勢力が再び政権を取り返すことによって韓国にも国民の選択により政権が交代する自然な政治文化が根をおろすことができるようになった。

 大きな世論を基に一度も1位を奪われなかった文当選人は喜んでばかりではいられない。あまりにも多くの難題が山積している。息が詰まるほど目まぐるしく変わる北朝鮮の核危機の渦中に外交安保のコントロールタワーの致命的空白状態が永らく続いたし、経済は長期的な景気低迷で庶民・中産層の暮らしは良くなる兆しを見せていない。財閥を改革して検察・国家情報院などの権力機関を立て直そうという国民的要求も激しい。このように国家的難題が山積しているのに国会は与党少数野党多数で、大統領選挙で政界は互いに敵対感だけを育てた。何一つ容易でない。

協力政治を通した改革、連帯を通した清算

 文氏が就任後何より留意しなければならないことは、協力政治による改革と連帯を通じた清算である。改革も清算も「協力政治と統合・連帯」なしには現実に力を発揮し難い。文氏が遊説で弊害の清算と国民統合の二つを交互に強調したのもそのような脈絡だろう。文氏は選挙で大差で勝利したが、政治的勢力分布からすると相変らず一人で全てを担っていくのは難しい。文氏は過半数には達しなかったが、比較的安定した得票をしたと評価できる。多数の国民の支持を基に事を進めるにしても、全てのことを一人で背負うとしてはならない。

 そうした点から、文氏自らが選挙中に明らかにしたように、政権は優先的に国民の党や正義党と連立政権または、協力政治を模索するのが望ましい。保守政権の失敗に対する国民反発の中で進歩改革政治勢力の広がりは過去のどの時代より大きくなった。今回の大統領選挙で共に民主党、国民の党、正義党の候補の得票率を全て合わせると、自由韓国党と正しい政党の得票率を二倍以上圧倒する。文氏は優先的にこれら二つの政党との協力関係の構築に力を強く注ぐべきだ。

 文氏は自分に投票しなかった保守指向の有権者も包容する政治力を発揮しなければならない。口だけ「100%大韓民国」を叫んで実際にはブラックリストまで作って反対派を弾圧した「排除の政治」はもはや終わらせねばならない。国政運営で原則と基準を見失わないようにしながらも、保守有権者の心と情緒をていねいに気遣うように願う。第2党である自由韓国党とも対話の扉を常に開けておかなければならない。対話し、討論して議会民主主義にのっとった多数決の原則で決定を下せば良い。自由韓国党も過去の野党時代のように新政府の当初から何かにつけ足を引っ張ることにだけ没頭した場合、国民的非難の対象になることを忘れてはならない。

北朝鮮核問題への対処に最優先順位を置くべき

 新しい大統領の至近の問題は何よりも政府と大統領府の陣容を組むことだ。政府の人選からして「協力政治による改革、連帯を通じた清算」の原則が適用されねばならない。文氏は遊説の際「当選後は野党から訪問する」と話していた。今日、大統領に就任すれば約束どおり野党をまず訪ねて、政府の構成から議会協力の手段まですべての懸案を虚心坦壊で議論するように願う。オバマ前米国大統領が就任後の党内選挙で争ったヒラリー・クリントンを国務長官に座らせたことを参考にしても良い。共に民主党の党内選挙戦の元候補だけでなく野党からも有能な人材を選んで使うという姿勢で内閣の人選を進めた方が良い。

大統領に就任するやいなや直ちに取り組まなければならない懸案のうち最優先は外交安保分野であろう。トランプ米国大統領の登場で朝鮮半島情勢は急変している。米国と中国が急激に動いて北朝鮮の核危機は重大な岐路に立たされている。しかも南北関係はすでに破綻状態だ。ややもして下手をすると、1世紀前のように韓国の運命を周辺強大国にすべて決められてしまう事態が怒りかねない。大統領の課題のうち国の安全を保障して国民の安全と危機を守ることほど重要なことはない。文氏は就任するやいなや朝鮮半島の緊張を緩和して対北朝鮮の政策において韓国の役割を再び見い出しうる方法から模索すべきである。健全たる韓米同盟を基に、中国や日本などの周辺国との関係も互恵平等の原則によって新しく構築すべきである。北朝鮮に断固としながらも柔軟な姿勢で接触し、南北関係の新しい局面を開かねばならない。大統領選前に実践配置の段階まできたTHAAD(高高度防衛ミサイル)問題は原点から再検討しなければならないだろう。米国や中国などの関連国と幅広く協議して国民的合意を基に合理的解決策を見出していくべきである。

国民の力を結集して改革政策を推進すべき

 文氏には失望に陥った青年に希望をあたえる大統領になってもらいたい。経済活力が落ちて働き口の質は全般的に悪くなり、内需不振に私たちの経済が長期沈滞に陥る傾向を反転させねばならない。短期間に実現することは難しいことだ。財閥企業の投資と輸出支援に恩恵を集中し、建設業の景気浮揚による成長率の数値を高める政策から抜け出すべきである。競争と革新が活性化し、個人所得が増えて民間消費が蘇る経済構造を作る方向に持続的な政策を展開しなくてはいけない。

 ろうそくデモから大統領弾劾、大統領選挙につながったドラマは「市民革命」と称せられたほど躍動的だった。新政府は改革政策で市民の「革命的な風」を反映せねばならない。革命より改革がさらに難しいとよく言われる。改革が実を結ぶまではさらに大変で苦しい過程が待っている。国政私物化の勢力とその追従者が再び韓国政治に足を踏み入れることができないようにしなければならない。権力機関はもちろんで財閥とマスコミもまた本来の立場に戻れるように改革しなければならない。何一つ容易なことはない。国民の力を結集して一歩一歩前に進むのがまさに指導者の役割だ。「新しい大統領文在寅」を中心に国民皆が
心を一つにして国らしい国を作って「ろうそく革命」の新段階を開くことを期待する。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:5/26(金) 7:20

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