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職場のいじめ…罵倒され疲弊する新入社員 演劇「罪の名前」が突きつけるもの

5/10(水) 5:35配信

沖縄タイムス

 いじめをテーマにした現代劇「罪の名前」(作・新城啓、脚本・福永武史)が4月29、30の両日、那覇市の「わが街の小劇場」であった。会社のオフィスで繰り広げられる新入社員と上司らのやりとりを通して、いじめやパワハラの実態、被害者の心の動きを見る人に訴えた。(学芸部・天久仁)

 物語は新入社員の崎原(わたぬきかな)がテンションの高い所長(仲嶺雄作)、厳しい女性の上司(渡辺奈穂)、崎原から悪口を引きだそうと画策する女性の先輩(棚原奏)らに罵倒され、疲れ切って帰宅するシーンから始まる。唯一の心の支えは優しい博士(M.KOIKE)の存在だ。

 家庭でも母親(うどんちゃん)から「みんな我慢しているのよ」と突き放され、行き場のない崎原。同世代の男性の先輩(金城裕一)が結局、傍観者に過ぎなかったことに気付き「新しい人が入ってきたら、自分がいじめる番になるのか」と自問自答する。

 無表情、無気力な崎原を好演したわたぬき。今回、劇の原作を作るに当たり、同世代の金城と共に、自身の体験を含めて「いじめ」について考えたという。

 「優等生と比較されたり無視されたり。被害者にならないよう、いじめの傍観者になることも。いじめにもいろいろあるんです」とわたぬき。

 若い世代のアイデアをすくい上げ、原作にまとめた新城は「電通の社員が働き過ぎで自殺した事件が気になっていた」という。一方、作品では「これがいじめだ」という定義はせず「作品を見る各世代に、どこまでがいじめなのか考えるきっかけになればと考えた」と振り返る。

 小さく狭い空間で発せられる罵声は、まるで見る人に向けられているようにも思えた。「会社の人がやってることは犯罪じゃないのか」と自問しながら、崎原は最後まで「会社を辞める」と言わない。

 わたぬきは「いじめの捉え方は人それぞれ違う。互いに歩み寄り、理解することが一番大切だと思います」と話した。

最終更新:5/10(水) 5:35
沖縄タイムス