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村田諒太「歩」いて2つ目の「金」、はまる将棋の心

日刊スポーツ 5/10(水) 10:06配信

 「歩」いて2つ目の「金」へ-。20日のボクシングWBA世界ミドル級王座決定戦(20日、東京・有明コロシアム)で世界初挑戦となるロンドン五輪金メダリストで同級2位村田諒太(31=帝拳)は9日、都内のジムで練習を公開した。元世界王者で同級1位アッサン・エンダム(33=フランス)の素早い動きを捉えるため、取り組んできたのは「歩くこと」。歩くようにすっと前に詰める動きで、五輪に続く金=世界王者をつかむ。

【写真】引き締まった顔でサンドバッグを打ち込む村田

 将棋の比喩がピタリとはまる。着実に1マスずつ前進する「歩」の駒のように、スパーリングの村田の足取りはスムーズだった。スピード豊かな米国人のパートナーを追い詰める。強打を打ち込める距離に入るための足運び。「すっと前に出られた」。そう表現する動きこそが、エンダム対策で習熟してきた技術。「歩」は前に進めば「金」になる。プロの世界でも1つの頂点を極めるために歩く。

 ガードを固めて前進し、パンチを打ち込む。五輪で金メダルを取ったスタイルに回帰し、昨年は4連勝4KO。自信を深めた戦い方を今回も貫徹するが、エンダムはこれまでの相手で最も速い。中、遠距離から威力ある拳を振ってくるため、どう近距離に詰めてつかまえるかが鍵になる。そこで徹底してきたのが歩く意識。どしっと構えるのではなく、歩くような速度でちゅうちょなく前に出られれば勝機が見えてくる。

 「(中に)入れずにジャブでバシバシ(パンチをもらう)というのは嫌なので、思い切っていく感じですね」。前に出れば被弾のリスクも高まるが、覚悟は決めた。スパーでは「構えすぎて良くなかった」1回はすっと足が出なかった。修正した2回は前に出た。だからこそ、強いパンチも打ち込めた。「中に入れば展開を作れる。その状態を作れるか」とにらんだ。

 公開練習に集まった報道陣、関係者は80人を超えた。名門帝拳ジムでも異例の多さに「この試合を決めるために多くの方々にサポートしてもらったので、結果で恩返ししたい」と使命感もにじむ。会見の最後、初めてボクシングを見る人への言葉を求められると、「ボクシングは恐怖と闘うスポーツ」という3階級王者長谷川穂積の言葉を引用して、こう言った。

 「殴って殴られて、今まで勝ってきた自分を失う恐怖があり、それに立ち向かった先に何か見えるものがある。そういった姿を見ていただければと思います」。【阿部健吾】

最終更新:5/10(水) 10:30

日刊スポーツ