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政府がひた隠しする「米艦防護」 実施しても「説明は不要」のワケ、集団的自衛権との関係は?

5/12(金) 7:10配信

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 この大型連休中、太平洋で自衛隊の艦船が米軍の艦船を守る任務「米艦防護」が行われました。昨年施行された安全保障関連法に基づく、初めての実施です。「専守防衛」の自衛隊にとって歴史的な出来事ですが、政府はいちいち公表すべきでないと説明を拒みます。どうしてでしょうか。(朝日新聞政治部専門記者・藤田直央)

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稲田防衛相の命令で2隻派遣

 5月1~3日、房総半島沖から太平洋側を西に進み、南西諸島の東まで航行する米海軍補給艦「リチャード・E・バード」。この艦船を守るということで、海上自衛隊の護衛艦「いずも」「さざなみ」の2隻がともに航行しました。安保関連法の新任務である米艦防護で、稲田朋美防衛相が発令しました。

 もしこの米補給艦が襲われたら、近くにいる海自護衛艦2隻が武器を使って守る――。今回は実際にそういうことは起こりませんでしたが、今後様々な場面で米艦防護が常態化する可能性があります。

 ところが、9日に参院予算委員会で野党議員から質問が出ると、稲田防衛相は「実施の逐一についてはお答えすることは差し控えさせていただきます」。任務を発令したことすら認めませんでした。

自衛隊にとってニーズは高い

 実は、米海軍と緊密に連携してきた海自にとって、米艦防護に備えるニーズは高いものです。

 日本の危機に米海軍が来援できるよう太平洋の海路を守るシーレーン防衛は、ソ連が敵国だった冷戦期から海自の役割です。中国の海洋進出や北朝鮮の軍備増強もあり、海自は米海軍と共同訓練を積み重ねてきました。「navy to navy」で同盟を支えてきたという自負は強いのです。

 一方で海自には悩みがありました。ともに活動する米艦が急に襲われた時に対応する法的根拠があいまいだったことです。ある幹部は「何もしなければ米国の信頼を失う。後で処分を受けても守る覚悟だった」と話しています。

 2001年の米同時多発テロを受けて米空母が横須賀を出港する際、海自護衛艦は防衛庁設置法の「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究」を根拠に事実上の護衛をし、強引だと批判されました。海自にすれば、法律がやっと現実に追いついたと言えます。

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最終更新:5/12(金) 7:10
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