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16年度の経常黒字20兆円超 9年ぶり高水準 米の批判懸念

SankeiBiz 5/12(金) 8:15配信

 財務省が11日発表した2016年度の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支の黒字額は、前年度比13.1%増の20兆1990億円だった。原油安で輸入額が減って貿易収支が改善したことが寄与し、リーマン・ショック前の07年度以来、9年ぶりの高水準となった。ただ、トランプ米政権は対日貿易赤字を問題視し、日本の経常黒字拡大に批判を強める恐れもあり、先行きに影を落としている。

 経常収支の黒字幅拡大は3年連続で、比較可能な1985年度以降で3番目に大きかった。

 牽引(けんいん)したのは、輸出から輸入を差し引いた貿易収支だ。黒字幅は5兆7654億円と、3296億円だった前年度の約17.5倍に拡大した。原油価格の下落で、輸入額が10.9%減と輸出額の3.4%減を上回り、収支の大幅改善につながった。

 また、訪日客の消費から日本人が海外で使ったお金を差し引いた旅行収支の黒字額は、前年度から微増の1兆2789億円だった。訪日外国人客が増加したことで、比較可能な96年度以降で最大となった。

 一方で、海外投資から得られる利子や配当を示す第1次所得収支の黒字額は、13.7%減の18兆356億円だった。円高に伴い、証券投資収益が目減りしたことが響いた。

 17年度の経常収支の見通しについて、SMBC日興証券の宮前耕也氏は「基本的には前年度に比べて円安基調で、外需の好調も続くことから、どちらかといえば黒字が拡大する方向にあるだろう」と指摘する。

 とはいえ、不安要素もある。対日貿易赤字の大きさに神経をとがらせる米政権の出方だ。

 財務省が同日発表した16年暦年(1~12月)の地域別経常収支の黒字額は、米国が12兆7244億円。円高の影響で15年から約7%減少したものの、最大の黒字となった。このうち、貿易収支の黒字額は8兆9139億円だった。

 米商務省が今月4日に発表した3月の貿易収支では対日赤字が約9年ぶりの高水準を記録。これを受け、ロス商務長官は「米国はこれ以上耐えられない」とする異例の声明を出した。

 声明は対日貿易赤字の削減に向け、日本に2国間の通商協議を促す狙いがあるとみられる。今回の日本の黒字拡大を受け、米側がさらなる強硬姿勢をとることも懸念される。宮前氏は「トランプ氏はドル安政策を強力に推進する可能性がある。ドル安円高が進行すれば、第1次所得収支を中心に黒字縮小圧力が強まる」と指摘する。

最終更新:5/12(金) 8:15

SankeiBiz