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海水と下水で「世界初」のCO2フリー水素製造、しょうゆ生産の技術を応用

スマートジャパン 5/11(木) 7:10配信

 山口県はこのほど山口県産業技術センターがコーディネートし、山口大学や企業などと共同提案した塩分濃度差を利用する水素製造技術が、国土交通省委託事業の「平成29年度下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)・FS調査」に採択され、周南市で実用化調査を実施することが決まったと発表した。

 同県では「やまぐち次世代産業クラスター構想」の推進および「水素先進県」の実現に向けて、県や関係省庁の補助制度を活用し、産学公連携による研究開発・事業化促進に取り組んでいる。

 今回採択されたのは下水道事業での低炭素・循環型社会の構築などに向けた、実規模レベルのプラントを用いた実証の前段階として実施する調査・研究事業。新技術に関する導入効果などを含めた普及可能性の検討や技術性能の確認を行う。提案者(実施事業者)は代表機関の山口大学および正興電機製作所山口営業所と日本下水道事業団を共同研究機関とした共同研究体。

 事業では下水処理水と海水の塩分濃度差、下水処理場の立地条件、下水処理水のポテンシャルを生かした「世界初」(山口県)となる新たな水素製造技術の実用化について、徳山東部浄化センター(周南市)で水素発生量、水素純度などの技術的な性能を調査し、各種設計条件について検討する。

 「世界初」をうたう水素製造システムは、海水からの食塩製造、醤油の脱塩などに利用されていた「電気透析」という技術を応用。下水処理水と海水の塩分濃度差を利用してCO2フリーな水素製造を行うというユニークな技術だ。

塩分濃度差を利用するメリットとは?

 この水素製造システムの核となるのが、下水と塩分濃度差を利用する発電システムの部分だ。海⽔からの⾷塩製造や醤油の脱塩などで既に実用化されている電気透析という技術を応用する。イオン交換膜を利用すると、海水と下水処理水を入れた時に塩分濃度の高い場所から低い場所にイオンが移動する。その際に発生する電力を利用して、電極部分で水素を製造する仕組みだ。

 このシステムでは水素の他、酸素も得られる。下水処理水の高い水温を活用することで、発電出力および水素製造量の増加も見込めるという。最近では下水処理所の消化工程で得られるメタンガスを活用した水素製造の実証も広がっているが、塩分濃度差を利用したシステムであれば、こうした消化工程を持たない下水処理場であっても、海水さえ取得できれば水素製造を行えるメリットもある。

 山口大学をはじめとする共同研究体は、2016年度にB-DASHプロジェクトにおいて福岡市で濃縮海水(処理済み海水)を活用した基礎調査を実施している。2017年度は実海水を用いて本格的な調査に着手し、主に水素・酸素製造能力の向上や前処理装置の確立技術を評価する計画だ。なお、同事業には、アストム(山口県周南市)が専用の膜製品などを提供している。

 予定事業費は2017年度単年で3000万円を上限とする。今回、県産業技術センターのコーディネーターが特許調査などを行い同システムが世界初となることを確認し、参画機関調整や提案書作成支援を行い提案・採択に至ったという。

最終更新:5/11(木) 7:10

スマートジャパン