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4試合連続完封ならず 菅野の投球を“エースのジョー”はどう見た

日刊ゲンダイDIGITAL 5/11(木) 9:26配信

 快挙への挑戦は、あっけなく幕を閉じた。

 9日の阪神戦で、52年ぶりとなる「4試合連続完封」の偉業に挑んだ巨人のエース・菅野智之(27)が、初回にいきなり失点。

 先頭の高山に二塁打を打たれると、1死三塁から3番の糸井に右前適時打を浴びた。東京ドームが大きなため息に包まれる中、2死一、三塁とピンチを広げ、6番の鳥谷にも左前に運ばれて2失点。三回にも先頭の北條に内野安打で出塁を許すと、4番の福留に初球のシュートを右翼スタンドへ運ばれた。結局、8回9安打4失点でマウンドを降りた。

 菅野は、2日のDeNA戦で89年の斎藤雅樹に並ぶ球団28年ぶりの3試合連続完封を達成。この日のマウンドは、〈城之内邦雄が果たした65年以来の快挙なるか!〉とスポーツマスコミが大騒ぎする中で迎えた。

■変化球多投の背景

「打たれた原因のひとつはそれでしょう」

 巨人OBの評論家、高橋善正氏がこう続ける。

「前3試合に比べると、コースが甘く、球のキレが悪かったのは確か。ただ、一番の違いは投球の組み立てです。この日の菅野は初回から変化球を多投。直球の割合が明らかに少なかった。4試合連続完封の記録をイヤでも意識させられ、気持ちが守りに入った。慎重さは投手に必要ですが、点はやれない、打たれちゃいけないと、それが過剰になると、変化球でかわそうかわそうとしてしまう。それが投手心理で、この日の菅野は典型的だった。150キロ超の直球を主体にしてこそ、変化球が生きる。それが最初から変化球、変化球では打者は怖くない。思い切って踏み込んでいける。福留の本塁打はまさにそう。もちろん、菅野だってそんなことは百も承知だろうが、それができなかった。記録を意識し過ぎたからです」

 実際、2点を先制された初回は、投じた21球のうち真っすぐは6球。追加点を奪われた三回も、20球を投げて直球はたったの3球だった。

 そういえば、米国と戦った先のWBC準決勝を前に、菅野は侍ジャパンの権藤博投手コーチからこんなアドバイスを受けている。

「真っすぐで押せ。スライダーには頼るな。内角にグイグイいけ」

 これが奏功して菅野は米国の強力打線を6回3安打1失点。試合後、権藤コーチは「この投球が今季、おまえが目指すべき方向だ」と言ったそうだが、裏を返せば、変化球に頼るときの菅野は危ない、ということだ。

 菅野の伯父でもある巨人の原辰徳前監督が、繰り返し「ストレートを磨け」「テクニック、小技に頼るな」「力投派、速球派を目指せ」と言っていたのも、そんな傾向を懸念してのことだった。

■「四球はOKという割り切りが大事」

 菅野が挑んだ「4試合連続完封」を65年に達成した、「エースのジョー」こと巨人OBの城之内邦雄氏はどう見たか。

「ちょっと一本調子だった。打たれたのは糸井、鳥谷、福留。テンポが速いのは菅野の長所だが、当たっている中軸打者にリズムが一定では、タイミングが合ってしまう。失点した初回と三回は、走者への意識も散漫だった。走者を刺さなくてもいい。牽制を入れることで、打者との間合いを外すことができる。危ないのはカウントを取りにいく球だと思っていたけど、三回に福留に2ランを打たれた球は、ほぼド真ん中の初球。コントロールがいい菅野にしては雑というか、完封を意識するなら、ある程度の四球はOKだと割り切ることが大事。普段あまり見ないコントロールミスだけに、菅野にとっては悔いが残るだろうね」

 65年は巨人のV9が始まった年。城之内氏は52試合に登板して21勝12敗と貢献。入団から5年で101勝、通算36完封。その城之内氏が続ける。

「2点を追う七回裏に菅野へ打席が回ってきた。普通なら代打で交代だ。しかし、彼はそれが当たり前のように打席に入って次の八回まで投げた。簡単にはマウンドを譲らないというエースの姿勢は見せた。今は投手が分業制の時代だから、凄いこと。この日は残念だったけど、また完封記録に挑戦して欲しい」

 今季初黒星を喫した菅野は試合後、「1点を取られて(記録に関しては)割り切れたが、1点で終わらないといけなかった。再来週の甲子園でやり返したい」と話したが、改めて伯父さんの“説教”を思い出しているかもしれない。

最終更新:5/11(木) 9:26

日刊ゲンダイDIGITAL

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