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「超電導ケーブル」実用化へ、損失を90%以上削減

5/11(木) 9:42配信

スマートジャパン

冷却コストの壁、超えられるか

 -196℃の液体窒素で冷やすことによって、抵抗がゼロになる超電導線の特徴を用いた「超電導ケーブル」。従来のケーブルに比べて通電による損失を90%以上削減することができるため、大きな省エネ効果が期待されている。しかし常時液体窒素で冷却することが必要で、その冷却コストが実用化の障害となっていた――。

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 昭和電線ケーブルシステムは2017年5月10日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の省エネルギー技術革新プログラムで、超電導ケーブルが実用化開発フェーズとして採択されたと発表した。プログラムの実施期間は2年、助成額は非公開とした。

 同社は2013年までNEDOの委託事業において、高温超電導線の1つであるイットリウム系超電導線の低コスト化、高性能化開発に取り組んできた。2014年度から2016年度にかけては、NEDOの同事業で三相同軸型の超電導母線の開発を行っている。

 三相同軸超電導ケーブルとは交流電流を流すU相、V相、W相の3相を、中央にあるステンレス波付き管の上に形成した導体である。各相の間には、合成樹脂と紙のラミネート材でできた絶縁層が形成されている。この導体をアルミおよびステンレスの波付き二重保温管に入れて、液体窒素を流すことで超電導線は抵抗ゼロとなり、紙絶縁層は絶縁特性を発揮する仕組みだ。この構造は、低コスト化に有効という。

 実用化に向けては、液体窒素などの冷熱が存在するプラントや工場内で、大容量線路に使用できる低コスト型の超電導ケーブルシステムを開発する。

 昭和電線ケーブルシステムによると、2016年度までは三相同軸母線を実際に作製し、基本的な電気特性や安全性などの試験をクリアできていた。この知見を応用し、さらに保温性の高い容器構造を開発することで、民間利用に耐える低コスト構造を目指す。

 また冷却にかかるコストに関しては、液体窒素や窒素ガスを大量に使用するプラントを対象とする冷却システムを提案し、初期導入コスト低減対策の実証も進める。これにより、超電導ケーブルシステム実用化につなげることが目標とした。

NEDOが進める高温超電導技術

 高温超電導技術の実用化には、NEDOが4つのプロジェクトに着手している。2016年5月の発表によると、電力分野では直流・交流ともに一定距離の送電が可能なことが実証されており、安全性確保への技術確立と復旧ガイドライン策定を進めているという。

 運輸分野では、低損失・大容量送電が可能な鉄道き電線(電車線に電力を供給する電線)システム開発と、安全性および信頼性の実証を実施。都市部を中心とした鉄道輸送力を高める送電技術を開発し、重要な課題である長距離冷却技術を実証する。

 産業分野では磁気共鳴画像装置(MRI)分野への適用を狙う。高価であることに加えて供給が不安定という課題があるヘリウムを必要とせず、省エネルギーでシェア拡大につながる高温超電導高磁場マグネットシステムの開発に取り組む。

 また超電導応用商品実現のために、超電導マグネット用途の要求を満たす磁場特性の向上とコスト低減を目指す高温超電導線材の技術開発を実施するとした。