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名作『マンチェスター・バイ・ザ・シー』ラストシーンの意味は?監督が自身の解釈を明かす

5/11(木) 21:06配信

シネマトゥデイ

 第89回アカデミー賞で主演男優賞と脚本賞に輝き、アメリカの映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で96%(5月10日時点)の高評価を得ている『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(5月13日公開)。本作の脚本と監督を兼任したケネス・ロナーガンが電話インタビューに応じ、マット・デイモンから監督をバトンタッチするに至った経緯から、過去に手掛けた作品と通じるテーマ、観る者によって解釈の分かれるラストまでを語った。

【動画】アカデミー主演男優賞&脚本賞受賞『マンチェスター・バイ・ザ・シー』予告編

 本作は、アメリカ北東部に実在する街「マンチェスター・バイ・ザ・シー」を舞台に、兄の急死で故郷に戻って来た主人公リー(ケイシー・アフレック)と、父を亡くした高校生の甥パトリック(ルーカス・ヘッジズ)のぎこちない交流を描いた物語。もともとはマット・デイモンの監督・主演作として企画され、マットが直々に脚本を依頼したのが過去に2002年の舞台「ディス・イズ・アワー・ユース(原題)/ This is Our Youth」などでコラボ経験のあるケネス・ロナーガンだった。

 完成した脚本に感銘を受けたマットはロナーガンが監督すべきだと意見を変え、スケジュールが合わず出演も断念。最終的にはプロデューサーにまわり、主演には旧知の仲であるケイシー・アフレックを推した。「マットが監督していたら全然違う映画になっただろうね。マットは脚本を尊重してくれていたけれど、監督によって映画の完成形は大きく変わるものだし、マットが主演をしていてもまた違った映画になったはず」と製作に至るまでの紆余曲折を明かす。

 完成した作品は、一度は故郷を捨ててしまった男の帰郷、誰かを亡くした喪失感や贖罪の意識などロナーガンの過去作『ユー・キャン・カウント・オン・ミー』(2000・日本未公開)、『マーガレット』(2011・日本未公開)と共通するモチーフが多い。「わざとじゃないけれど、僕自身がそういう素材にのめり込むタイプなんだろうね」と認めるが、決して深刻なばかりではないと付け加える。「僕はジョークやユーモアが大好きだし、そもそもユーモアとドラマは対比するものじゃなくてほぼ同じものだと思っている。ユーモアがなければ、その映画は失敗だとさえ思うよ」。

 ただし「観客を喜ばせるためだけにハッピーエンドを捏造するような映画は好きじゃないし、観客にも人間全般に対しても失礼」と安易な映画作りを批判。「僕の映画では何かが解決したりすごく改善されたりはしないかもしれないけれど、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の主人公は最後には少なくとも人間性を取り戻しつつあるんだ」と、自らの作劇を「ハッピアー・エンディング(最初よりはハッピーになっているエンディング)」だと表現した。(取材・文:村山章)

最終更新:5/11(木) 21:06
シネマトゥデイ