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<台風10号>岩手で応援職員が不足 復旧への影響懸念

毎日新聞 5/11(木) 11:20配信

 ◇被災3市町、東日本大震災の半分

 昨年8月の台風10号災害からの復旧復興事業に当たるため、岩手県内外の自治体から派遣される応援職員が不足している。被災3市町の応援職員の確保数を必要数で割った充足率は48%で、9割を超える東日本大震災の応援職員の充足率とは大きな開きがある。震災とは違い、職員派遣のさまざまな枠組みが用意されていないことなどが背景にあるとみられるが、事業が本格化するなかでスケジュールの遅れを懸念する声も上がっている。【佐藤慶】

 岩手県市町村課によると、4月1日現在の応援職員の確保数は▽岩泉町10人(必要数16人)▽久慈市1人(同6人)▽宮古市1人(同3人)--で、計25人の必要数に対し、確保できたのは12人にとどまっている。一方、東日本大震災での沿岸9市町村への応援職員は、必要数680人に対し、確保できたのは632人で、充足率は92.9%となっている。

 両者の数字の違いに関係しているとみられるのは、職員派遣のさまざまな枠組みの有無だ。震災では、被災自治体が県外自治体に直接働きかけて独自に職員を確保する方法のほかに総務省や県、市長会などが仲介して人繰りを支援する枠組みが用意された。

 ただ、台風10号災害ではこの枠組みは利用できないため、県は今年に入り、東北や関東の都県、市長会などを訪問し、派遣要請を重ねてきた。しかし、今回確保できた12人のうち、県外から派遣されている2人は、いずれも岩泉町が過去の交流から独自に確保した職員。東京五輪などで全国的に土木系職員の人材不足がみられるほか、熊本地震に職員を派遣しているなど派遣元の自治体の事情もあり、苦戦が続いているという。同課は「今後も応援職員の必要性をしっかりと伝え、派遣の検討をお願いしたい」と確保の取り組みを続ける意向だ。

 懸念されるのが、本格化する復旧復興事業への影響だ。

 久慈市は、昨年度の災害査定は短期の応援職員の派遣を受けて乗り切ったが、今年度は膨らんだ復旧復興事業の予算を執行する局面に入るため、人繰りは極めて厳しい状況という。担当者は、「単純な計算でも予算が2倍になれば、人は2倍必要となる。それを現行の人数でこなそうとすると超過勤務になってしまうし、それでも無理なら事業は後に延びてしまう」と話す。

 岩泉町では、県内自治体から職員派遣を受けているものの、水道の復旧工事に当たる職員などが不足している。担当者は「今後、道路の復旧に合わせて水道管の工事も増え、業務量の増加が予想されるが、現行の体制で復旧復興事業を優先すると水道料金の徴収業務などに影響が出る可能性もある」と住民生活への影響を懸念している。

最終更新:5/11(木) 11:20

毎日新聞