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【ラグビー2019W杯】日本“死の組”入り回避は本当に吉か

5/11(木) 17:02配信

東スポWeb

 10日に京都市内で開催された2019年ラグビーW杯日本大会の組み合わせ抽選会で、日本代表は“死の組”入りを免れた格好だが、目標の決勝トーナメント初進出への道が平坦ならぬことに変わりはない。同じA組に入ったアイルランドとスコットランドへの期待値が高まり、予選から出場を決める可能性があるオセアニア勢も実力を秘めている。19年9月の開幕まで2年以上もあるだけに、勢力図激変も考えられる――。

 第1回から9大会連続出場となる世界ランキング11位の日本は、アイルランド(同4位)、スコットランド(同5位)、今後決まる各大陸予選からの2チームとともにA組に。世界ランキング上位3位までとは同組にならず、“死の組”入りを逃れた。

 前回15年大会で2連覇を達成した世界1位のニュージーランド、同国と並ぶ最多タイ記録のテストマッチ18連勝を遂げ、欧州6か国対抗も2連覇した前日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏(57)率いる北半球最強イングランドとの1次リーグ対戦はなくなった。

 イングランドに次ぐ3位のオーストラリアも別組となり、“死の組”はもっぱら、世界2位のイングランドと6位のフランス、前回ベスト4で世界9位のアルゼンチンがひしめくC組との声が、複数のチーム指導者や記者の間で飛び交った。

 日本の組み合わせに「運がよかった」との受け止めも関係者やファンの間で聞かれるが、対戦相手側も似たようなものだろう。抽選に際して事前になされた現時点での出場決定12チームの格付けで、日本と同じ第3グループにいたアルゼンチンの方が実力上位。アイルランドとスコットランド側も“アルゼンチンでなくてラッキー”と思っても不思議はない。

 アイルランドのジョー・シュミット・ヘッドコーチ(HC=51)は「日本は進化を遂げている。非常に難しい相手だ」と話したが、同国紙アイリッシュ・タイムズは「シュミットHCは自らにほほ笑みを許しただろう」と幸運を指摘した。

 賭けを扱うブックメーカーのオッズにも2チームへの期待値の高まりがみられる。英ウィリアム・ヒルは抽選会以前、優勝チーム当てでアイルランドを5番手の13倍、スコットランドは9番手の51倍だったのが、抽選会後はそれぞれ、8倍と34倍に評価が急上昇。日本は101倍が抽選会後に126倍に下がった。

 各組の決勝トーナメント進出チーム(5チーム中2位まで)を予想する賭けもあり、「パディーパワー」では、アイルランドとスコットランドがほぼ1倍なのに対し、日本は4倍。「スカイベット」も同じ賭けで、前出2チームを4倍以内としているが、日本は19倍と差が大きい。

 欧州6か国対抗ではイングランドやフランス、ウェールズに比べて弱小視されがちなこの2チームだが、アイルランドの活躍は著しい。全大会出場のW杯は最高で8強止まりながら、昨季はニュージーランドとイングランドの連勝最多記録をともに18でストップさせた。スコットランドもW杯すべてに出場し、1991年に準決勝まで進んだ実績がある。ベストメンバーでなかった89年のスコットランドを除くと、両チームともW杯を含めて日本に一度も負けたことはない。

 そして要注意が格付け第5グループからA組に入ってくる「欧州・オセアニア・プレーオフ」の勝者。欧州の1枠から漏れた次点とオセアニア2枠の次点が戦う。サモア、フィジー、トンガのオセアニア3か国はいずれもW杯常連の強豪で、日本は各国とも対戦成績が決して良くはない。出場確実とみられているのか、既に賭けの対象にもなっている。

 現状ではフィジーとサモアが優勢とされる。国際統括団体「ワールドラグビー」のデータでは、03年以降のW杯で最大の番狂わせが15年に南アフリカを破った日本だが、トンガも同2位(対フランス)と同6位(対サモア)に相当する番狂わせを起こしている。トンガを含むオセアニア勢が本戦に出てきたら油断できない。

「第5グループでもタフな相手がいる」と警戒心をあらわにしたのは、アルゼンチンのダニエル・ウルカデHC(58)。開幕まで2年以上も時間があり、ニュージーランドのスティーブ・ハンセンHC(58)は「開幕するころには優勝候補が増えている」と各チームの上積みを予想。現時点では恵まれた組み合わせとなった日本だが、ジェイミー・ジョセフHC(47)に笑顔はなく「どの組も強いメンバー」と気持ちを引き締めた。

【安倍首相があいさつでドキッ発言】

 抽選会で日本の組を決める役割を担った安倍晋三首相(62)が、それに先立ち行われたあいさつで、波紋を呼びかねない言葉を発した。

「リオの五輪でマリオになった時以上に緊張しております」と話して笑いを誘った安倍氏。あいさつの前半でラグビー憲章の掲げる精神に敬意を表し、「偉大なラガーマンの森喜朗先生を師と仰いで参りました」と列席していた元首相で東京五輪組織委員会会長の森氏をたたえた。続けて「彼の本は少し評判を呼んでいるわけでありますが」と加えた。

 これは森氏が4月に上梓した「遺書 東京五輪への覚悟」(幻冬舎)への言及とみられるが、同書はラグビーにもページを割き、日本代表を15年W杯で3勝に導いたエディー・ジョーンズ氏について森氏は「私は怒り心頭です」などと批判している。

 エディー氏は抽選会に出席。森氏の著書内容を知った上で首相のあいさつを聞いていたら、どう思ったのか…。

最終更新:5/11(木) 17:02
東スポWeb