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4季連続決勝で激突…前橋育英と健大高崎ライバル対決が生むレベルアップ効果

5/11(木) 11:00配信

デイリースポーツ

 ライバルの存在は互いを高め合い、全体のレベルアップという効果さえも生む-。取材した今春の高校野球地方大会で、あらためてそれを感じさせる試合があった。

 群馬大会決勝の前橋育英-高崎健康福祉大高崎戦。両校とも今春センバツに出場し、前橋育英は1勝、健大高崎は8強入りした。昨春から4季連続決勝での顔合わせ。全国的に見ても、4季連続はなかなか珍しい。さらに調べると、12年春からの16大会で、両校による群馬大会決勝は実に9度目だった。

 試合は見応え十分の熱戦となった。丸山和郁外野手(3年)の2打席連続本塁打などで前橋育英が最大5点をリードしたが、健大高崎が猛追。最終回には1点差まで詰め寄った。最後はセンバツでは背番号1を付けた丸山が救援し、前橋育英が逃げ切り。直接対決は5連勝となった。

 春季大会は甲子園に直結しない。準決勝に勝った時点で関東大会出場も決定。決勝で最大のライバルとの顔合わせとなれば、夏に向けて手の内を隠す思惑があっても不思議はない。だが、両チームの戦いぶりからは、そんな姿勢は感じられなかった。

 前橋育英・荒井直樹監督は「健大さんとは、毎回こういう試合になるんだなというのが正直な感想」と苦笑した。昨春からは1点差が3度、昨夏の4点差も延長十回に突き放したものだ。

 今回の対戦に臨むにあたっては、選手には「春だからいいとか、関東が決まったからいいとかじゃなく、全員で健大に勝ちに行くんだ」と話していたという。先発マウンドを任されたのは皆川喬涼外野手(3年)だったが、常時140キロ台の直球と鋭いスライダーの制球も抜群。誰かを温存したわけではなく、あくまで投手陣の底上げというテーマに則した起用だった。

 「隠しても次の対戦ではまったく一緒じゃないし、見たことで逆に『打てない』と思うこともあるかもしれない」と荒井監督。特に高校生は短期間で急成長を見せることが往々にしてある。相手うんぬんではなく、自分たちがやるべきことに集中するというのが前提。その中で「勝ちきったのは大きい」と、勝利の意義を口にした。

 健大高崎もスタンスは同様だった。青柳博文監督は「5回負けたというのは、本当に情けない」と悔しがった。今回の決勝は「選手の精神的な面を見たかった。どういう姿勢で打って、投げているのか。接戦になるのは間違いないし、力を発揮できる選手をどうそろえていくか」という、夏に向けたテーマを持っていた。

 先発はセンバツまではクローザーを務めていた145キロ右腕・小野大夏投手(3年)。センバツで背番号1だった伊藤敦紀投手(3年)は登板しなかったが、こちらも大会を通じて投手の底上げを図っており、対前橋育英だったからというわけではない。

 「お互い相手の野球はわかっていますから。隠すわけじゃなくて、夏につなげる思いでいつもやっていること。選手としての力と力の戦いになります」と健大高崎・生方啓介部長は説明する。がっぷり四つの戦いができるライバル対決は、現状のチーム力を図るバロメーターにもなる。

 近年の群馬の勢力図はこの2強が中心。10年秋以降は、20大会中16大会でどちらかが優勝している。11年春に初めて甲子園の土を踏んだ前橋育英は、13年に夏初出場で全国制覇。健大高崎は初出場した11年夏から6度の甲子園ですべて初戦突破、4強1度、8強3度の成績を収めている。

 「健大さんがいるので守備力を上げなきゃいけないというのがあった」と前橋育英・荒井監督。健大高崎の青柳監督も「育英さんを倒さないと夏は甲子園に行けない。群馬県は非常にレベルが高くなった」と認めた。切磋琢磨(せっさたくま)できる関係が、全国でも通用する力をつけた背景にある。

 両校の決勝戦績は、今回で前橋育英の7勝2敗となった。ちなみに3回戦で激突した14年夏は、高橋光成(現西武)から脇本直人(現ロッテ)が決勝適時打を放ち、健大高崎が勝利。そのまま優勝を飾り、甲子園でも8強入りした。

 もちろん、集大成が夏の大会であることは間違いない。しかし、春の大会にもまた違った見どころ、面白さがある。それぞれの季節でそれぞれの“ガチンコ勝負”を繰り広げる前橋育英と健大高崎。これからも続くライバルストーリーが、ますます興味深くなった。(デイリースポーツ・藤田昌央)

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