ここから本文です

<飲酒事故>撲滅の道、灯す 遺族がフリーペーパー創刊

毎日新聞 5/11(木) 15:00配信

 被害者も加害者もつくらない--。高校1年だった長男を飲酒運転事故で失った福岡市東区の山本美也子さん(48)が、飲酒運転根絶を目指してフリーペーパーを創刊する。福岡県が定める「飲酒運転撲滅の日」の25日、全国の被害者支援センターなどに配布する。山本さんは「新たな被害を防ぐことができれば」と願いを込める。

 「もっと写真を大きくした方が良いかもしれませんね」。4月下旬、同市のNPO「はぁとスペース」の事務所で、代表の山本さんは見本誌を手に、製作に協力してくれる広告代理店の社員と誌面のレイアウトなどを話し合った。終始笑顔を交えながらだったが、その思いは切実だ。

 2011年2月、福岡県粕屋町で友人と歩いていた長男の寛大(かんた)さん(当時16歳)が飲酒運転の車にはねられ、命を奪われた。以来、飲酒運転をゼロにしようと活動に取り組んできた。県内外の学校や企業などでの講演、時には街頭で飲酒運転の悲惨さや命の大切さを訴え、各地を飛び回った講演は800回を超えた。

 しかし、昨年末に体調を崩したことを機に「このままのペースでは体がもたない。しかし、講演などの今の活動では広がりに限界がある」と活動スタイルを見つめ直した。自身の活動が新聞やテレビで紹介される一方、その訴えが届かない人たちがいることも気になっていた。

 「これまでとは違う手法で、当事者の思いを広く届ける方法はないか」。思いついたのがフリーペーパーだった。名前は「TOMOs(ともす)」。「飲酒運転根絶への火を灯(とも)し続け、被害者にも加害者にもならない生き方をともに考える」ことを掲げた。

 第1号は、飲酒運転撲滅活動を応援する女子ボクシング世界王者の黒木優子さんへのインタビューや、山本さんのエッセー、飲酒運転撲滅を目指す企業や団体の取り組みを紹介している。

 A4判でカラー8ページ。費用は趣旨に賛同する企業や団体の広告費でまかなう。第1号は5万部を印刷し、九州を中心とした役所や飲食店などに加え、全国の被害者支援センターでも配布予定だ。2号と3号は9月と来年1月に発行。その後も年3回のペースで定期的に発行するつもりだ。

 山本さんは「気軽に手にとってもらえるようにデザインなどにもこだわった。飲酒運転をなくそうと頑張っている人たちを全国の人に知ってもらいたい」と力を込める。問い合わせは、はぁとスペース092・692・6316。【佐野格】

最終更新:5/11(木) 15:52

毎日新聞