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拉致「不作為あってはならぬ」 マルズキ・ダルスマン氏、マイケル・カービー氏

産経新聞 5/11(木) 7:55配信

 ■元国連調査委の2人

 日本人拉致など北朝鮮の人権侵害を調査し、深刻な「人道に対する罪」の実態を報告した元国連調査委のマルズキ・ダルスマン氏(72)とマイケル・カービー氏(78)が10日、産経新聞の取材に応じた。問題解決へ向け力を尽くしたとして旭日重光章を受章し、来日した両氏は拉致被害者家族とも再会。「何もしない不作為はあってはならない。今こそ行動する時だ」と訴えた。

 「日本人拉致ほど明白な北朝鮮の人権侵害は他にない」。両氏は力を込める。2人が参加した「北朝鮮における人権に関する国連調査委員会」(COI)が2014年にまとめた報告書では、北朝鮮内外の過酷な人権侵害や、外国人拉致を含め20万人超を強制失踪させた疑いを明らかにした。カービー氏は「極めて暴力的な国家政策として行われた。国際社会がそれを忘れないよう声を上げたい」と指弾し、国際社会による責任追及の義務を強調。ダルスマン氏は、拉致の可能性が排除できない800人超の特定失踪者にも触れ「顔も名前もある多くの日本人が消えた。数ある人権問題の中で拉致は核心的問題だ」と述べた。

 両氏は「拉致問題の解決は容易ではない」と厳しい見方を示す。02年の日朝首脳会談で北朝鮮は拉致を認め、5人が帰国したが、他の被害者については「死亡」「未入境」と説明。被害者の偽の「遺骨」を提出するなど、不誠実な対応に終始した。

 ただ、ダルスマン氏は人権侵害を全否定する北朝鮮が「日本人拉致だけは明白に認めた」と指摘。事件を訴追する国際的枠組みで拉致問題を解明することが、人権侵害の全体を打開するカギだと話す。また、閉鎖的な北朝鮮に対し国連や第三国の仲介も得つつ、拉致を「明確な事実」として強く発信することが圧力となり、進展につながる可能性があると分析した。

 両氏は老いや病と闘いつつ被害者奪還を訴える家族にも思いを寄せる。カービー氏は「北朝鮮の行為は国際法の下では海賊や山賊がやることだ。愛する人を失って長年、涙してきた家族の努力を尊敬し、心痛を理解している」と語った。

最終更新:5/11(木) 8:12

産経新聞