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<公明党>首相の改憲案に困惑 「加憲」否定しにくく

毎日新聞 5/11(木) 22:03配信

 安倍晋三首相が提起した憲法9条の1項と2項を維持して自衛隊の存在を明記する改憲案に、公明党が神経をとがらせている。平和問題を重視する支持層に9条改憲への強い警戒感がある一方、同党の発案でもある「加憲」の形をとった首相の提案は否定しにくいからだ。東京都議選(7月2日投開票)を控え、できれば議論を避けたいのが本音だ。【高橋克哉】

 「(首相の提案は)相当踏み込んだ、唐突感のある内容だった」。同党の漆原良夫中央幹事会会長は11日の記者会見で、困惑した表情で語った。これに先立つ党常任役員会では、「自民党内の意見が集約されるまで、党として是非は判断しない」との認識で一致した。

 9条改憲論を巡っては、公明党が「戦争放棄」を規定した1項と「戦力不保持」を規定した2項の堅持を基本としてきたのに対し、自民党では「戦力不保持」を削除する2項改正論が中心だった。溝があまりにも深かったため両党は、この点に焦点をあてた議論は控えてきた。

 そこに首相が1項、2項を維持する新提案をしてきたため、対応に苦慮することになった。

 公明党は1981年、それまでの「違憲である自衛隊の段階的縮小」との方針を転換して自衛隊を容認。さらに自公連立政権下の2004年の「論点整理」で、両論併記した党内意見の一つとして、憲法上に自衛隊を明記すべきだと提示した。その後は、選挙公約などでも「加憲」の項目として自衛隊の存在を明記することを検討する必要性を主張した。

 ただし、公明党の主張する「自衛隊の明記」は、専守防衛や災害救助、国際貢献など自衛隊の役割を憲法に書き込むことで自衛隊の役割を限定するということに重点がある。

 一方で、自民党の9条改正論はこれまで一貫して自衛隊の役割拡大が目的だった。公明党からみると、自衛隊の存在を憲法に明記する首相の提案は、表面的には公明党案と似ていても、最終的な目的は自衛隊の役割拡大なのではないかとの懸念が消えない。

 自衛隊の役割拡大という議論に巻き込まれれば、安全保障関連法を巡って支持団体の創価学会から反発を受けた事態の再来にもなりかねない。都議選を目前にして同様の混乱はなんとしても避けたいのが本音だ。

 自民党憲法改正草案にこだわらず「加憲」の提案をした首相と、自民党との温度差を指摘する声も根強い。公明党幹部は「官邸1強とはいえ、自民党が軽々に9条2項を削除する国防軍創設の案を引っ込めるとは思えない。自民党の議論がまとまる前にうちがあれこれ考えても意味がない」と話す。首相と自民が綱引きをしている間は、様子見をしていようというのが実情だ。

最終更新:5/12(金) 8:32

毎日新聞