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<DeNA>無断使用の迷惑料 1件1000円に不満の声も

毎日新聞 5/11(木) 22:09配信

 医療情報サイト「WELQ(ウェルク)」など、インターネット上の情報をまとめたキュレーションサイトのずさんな運営が問題化、計10サイトが非公開に追い込まれたIT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)。今年3月の第三者委員会の報告を受け、記事や写真を無断使用された人に「迷惑料」名目で金銭の支払いを始めている。しかし、勝手に使われた人には強い不満も残っている。【岡礼子】

 ◇「プラットフォームだから」では逃げられない

 ウェルク問題で厳しい批判を浴びる前、DeNAは「(場所を貸しているだけの)プラットフォーム事業者で、記事の内容には責任を負わない」と強調していた。だが、第三者委員会は、DeNA自身も記事作成に関わるなど「メディア的側面を持っており、著作権侵害の責任を逃れられるわけではない」ことを指摘。サイトに掲載された記事の最大5.6%、写真計74万件に著作権侵害の疑いがあるとした。

 DeNAは報告を受け、記事や写真を無断で使われたのではないかとする人の問い合わせに応じ、「迷惑料」を支払うといった対応を進めている。「迷惑料」の金額や算定基準について「個別例による」として明らかにしていないが、「問い合わせたのに回答がない」「一方的に安価な金額を提示され、謝罪の姿勢が見えない」という不満もくすぶる。

 ◇「実費もかけずに記事を作って…」

 東京都新宿区在住で、化粧品に関するブログを書いている会社員の女性(33)は2016年1月ごろ、自分が撮影した写真がDeNA子会社「ペロリ」が運営するファッション情報サイト「MERY(メリー)」に掲載されていることに気づき、削除を求めた。DeNA側は「自由投稿型のサイトなので、作成者に連絡した」と説明。写真は削除されたが、その後も彼女の別の写真が無断で使われた。

 同年12月、ウェルク問題でDeNAへの批判が強まった後、女性は再び、DeNAに問い合わせた。すると、女性の写真を無断で使っていたのは、「一般人による投稿」という当初の説明とは違い、MERY側が制作した記事だったことが判明した。また、掲載写真は女性が把握していた4枚ではなく、計33枚に上ったことも分かった。

 DeNA側は、無断利用に対する支払額について、コンテンツで収益を得ている「プロ」と「一般の人」を分ける対応をとっているようだ。この女性は1件あたり1000円の「迷惑料支払い」を示されたという。

 あまりの安さに女性は、化粧品を購入するなど費用がかかっている▽企業の依頼でPR記事を書く仕事をしたことがある--などと説明。結果、DeNAから4月下旬、新たに「計7万円」の額を提示されたという。

 「(無断使用という)被害にあったのに、こちらが労力を注いで交渉しなければならない。納得がいかないことばかり。実費さえかけずに記事を作って、実費分すら支払わないのはおかしい」。女性は憤る。

 女性の知人には「1件1000円」を提示されたままの人がいる。また、インスタグラムやフェイスブックなど、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に載せた写真は、各SNSの規約で一般的に「引用」が認められる方法でDeNAサイトに使われているため、迷惑料を支払ってもらえないという。

 インターネットの著作権トラブルに詳しい森亮二弁護士は「全ての権利者を特定することが現実的に難しいことは理解できるが、本来はDeNA側が調査をし、権利者に損害賠償の必要の有無を問い合わせることが理想的だ。法的な損害が発生していないかのように『迷惑料』の名目で支払うのはおかしい」と指摘する。一方で「賠償金は、一般的には使用料相当の金額になることが多く、職業として価格設定などがあれば計算可能だが、そうではない場合、算定基準はないに等しい。もちろんゼロにはならないが、1000円程度になることも考えられる」と話している。

 ◇ネットでの無断使用 DeNAに限らず

 インターネット上で、写真や記事を無断で使われるケースは、DeNAに限らず後を絶たない。ある男性は、自身が撮影してネットに公開した写真を検索エンジンの画像検索機能で探し出し、これまで約40サイトに約200枚の無断使用の使用料を支払うよう求めてきた。男性によると、支払うのは半数程度で、なかには請求にまったく応じないケースもあるという。

 男性は「そういったサイトは支払うべき使用料だけでなく、サイトへの閲覧者(アクセス)も不当に獲得している。『逃げ得』ではなく、他人の写真を勝手に使ってはいけないという意識が、社会的に高まってほしい」と話している。

最終更新:5/12(金) 8:38

毎日新聞