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“女性蔑視”な韓国大統領選 候補者の「美人過ぎる娘」も被害…外交・安保議論の主題が「豚の発情剤」

産経新聞 5/11(木) 11:00配信

 【コリア実況中継!】

 左派政党「共に民主党」前代表、文在寅(ムン・ジェイン)候補(64)の圧勝で幕を閉じた韓国大統領選。選挙戦開始時は国民統合を訴える中道左派候補との一騎打ちの構図になると予想されたが、結局は対立陣営が存在感を示せず、文氏が終始独走する格好となった。緊張感に欠けた選挙戦でなぜかクローズアップされたのは、候補者の性犯罪関与疑惑や、選挙運動を手伝った「美人過ぎる娘」のセクハラ被害といった“女性蔑視”現象の数々だった。(外信部 時吉達也)

■与党候補がやり玉に

 「繰り返しになりますが、今日のテーマは外交、安保です! それを踏まえて議論を進めてください」

 北朝鮮の軍創建記念日を2日後に控え、核実験などによる挑発に備えて国際社会の緊張が高まっていた4月23日。大統領選の主要候補者5人が顔をそろえたテレビ討論会は、司会者の再三の要請にも関わらず1人の候補者に対する個人攻撃が繰り返されていた。「強姦未遂の共犯に、大統領選出馬の資格はない。立候補を辞退すべきだ」

 やり玉にあがったのは、与党から立候補した洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補(62)。洪氏は2005年に出版した自叙伝で、学生時代に友人の恋を成就させようと、仲間と一緒に豚の発情剤を入手したと告白。友人は発情剤を女性に飲ませたが、「目的」を達せられなかったというエピソードを紹介していた。

■元大統領の妻へのDVも話題に

 この記述が再び報道されたことで、他の陣営から批判が噴出。洪氏は討論会で「12年も前に自ら公開した話を言われても…」と不満をにじませつつ、謝罪に追い込まれた。

 洪氏はこの直前にも、「皿洗いは女の仕事。天が決めたことだ」と発言。「保守候補として『ストロングマン』であると印象づけようと思っただけ。本当は家で皿洗いもしています」と苦しい釈明に追われる「舌禍」を起こしていた。

 一方で、文氏との関係が深く、左派政権を率いた盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領も自伝で妻へのDVを告白していたことも報道された。女性問題を競う形となった陣営間の対立は、泥仕合の様相を呈した。

■低支持率の父を支える女子大生

 文氏の勝利がほぼ確実となった選挙戦終盤には、別の候補者の運動を支えていた「美人過ぎる家族」に対するセクハラ騒動が話題の中心になった。

 「国民の『義父』」。与党から分裂した保守政党「正しい政党」の劉承●(=日へんに文)(ユ・スンミン)候補(59)は選挙戦を通じ、不思議な呼び名が与えられた。選挙運動に加わった大学生の娘の美貌が話題になり、劉氏を自らの「妻の父」に見立てる発想からついた愛称だった。

 人気アイドルの楽曲に合わせて踊る愛らしい動画や父親に宛てた手紙も公開され、娘の評判はうなぎ上りに。父親の支持率が一向に上がらず、当所属の国会議員らが途中で大量脱党する苦しい戦いを支えていた。

■セクハラ事件「韓国社会の暗い断面」

 事件は5月4日、街頭活動の中で起きた。ソウル市内で市民との握手や写真撮影に応じていた劉氏の娘に、30歳の男が接近。肩に手を回し、舌を娘の顔に近づける姿を写した画像がインターネット上で拡散した。

 これに対し、同党議員の一人は現場での画像や動画の提供を求め、「ネット住民による捜査」を呼びかけた。左派の女性候補陣営は「韓国社会の暗い断面を示した。女性が堂々と生活できる国を作るのはわれわれだ」とさっそく政局に利用した。

 男はほどなく特定され、強制わいせつ容疑で事情聴取を受けた。調べに対し「特に理由もなく、ふざけただけだ」と話したといい、警察当局は男が聴取後に精神病院に入院したと説明した。

 保守陣営で起こった、政策論争とは次元の異なる話題の数々。左派政権の誕生に少なからず貢献したのは、間違いないだろう。

最終更新:5/11(木) 11:00

産経新聞