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中国の犯罪者は電子マネーで違法資金を高速洗浄

THE ZERO/ONE 5/11(木) 11:58配信

銀行よりもお得な口座

中国では、アリペイ(支付宝。アリババ)とWeChatペイ(微信支付。テンセント)が、決済手段の主役になっている。電子決済利用者は4.9億人、年間取引額は153兆円で、日本の30倍になる。

アリペイ、WeChatペイは、日本の電子マネーと基本的には同じ仕組みで、銀行口座などから事前にチャージをして、スマートフォンで支払いをするというもの。異なるのは、日本の電子マネーがFelica、NFCなどの近距離無線通信を利用するのに対して、アリペイ、WeChatペイはスマホにQRコードを表示して、これをカメラやスキャナーで読み込むことで支払いをする。店舗側ではスマホかタブレットがあればよく、カードリーダーは不要。消費者側では物理カードが不要で、スマホがあればいいという簡単さがある。しかも、QRコードが表示できればいいので、格安スマホや古い機種でも利用できる。

もうひとつの違いは、チャージ金額に上限がないということだ。日本の場合、5万円程度の上限を設けており、万が一事故や紛失が起きた場合でも、被害が広がらないように対策をしている。ところが、中国の場合、上限はなく、しかも銀行よりも有利な利息をつける。このため、「チャージ」という感覚ではなく、「銀行よりも有利な口座」という感覚で、資金のほとんどを電子マネー口座に入れている人も増えている。

新華社福州は、このような第三者支払いサービスが「洗銭」(資金洗浄)に利用されていると報道した。

リンクをタップした時点でアウト

今年1月18日、アモイ市の女性、蘇さんが、377万元(約6000万円)を騙し取られたと公安に届け出た。蘇さんは、自分の口座がある銀行の担当者と称する人物から、「あなたの口座が犯罪者の洗銭に利用される可能性がある。安全な口座を新たに開設して、至急、資金を全額移してほしい」という電話を受けた。中国で新たな銀行口座を開設するのは時間がかかる。急ぐ場合、アリペイのような第三者支払いサービスの口座を開いて、そちらに移そうと考えるのは自然なことだ。

その銀行の担当者と称する人物は、蘇さんのスマホに、手順をまとめた親切なショートメッセージも送ってくれた。蘇さんは、そのメッセージ内のリンクをクリックして、手順を確認、第三者支払いサービス(アリペイだと推測されるが、報道では特定されていない)の口座を開設し、そちらに銀行口座の資金377万元全額を移動した。

しかし移動した途端、蘇さんの資金は跡形もなく消えてしまった。

犯人の手口は単純だった。手順を説明したメッセージのリンクをタップすると、キーロガー系のマルウェアに感染するようになっていたのだ。蘇さんがどの第三者支払いサービスを開設したか、パスワードをどう設定したかが丸わかりになり、資金を移動するときに必要になる検証コードが記載されたショートメッセージは、犯人のスマホに転送されるようになっていた。犯人は、蘇さんの口座にアクセスをして、資金を別の口座に移しただけだった。

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最終更新:5/11(木) 11:58

THE ZERO/ONE