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「農家民宿」開業ノウハウ教えます 地域おこし協力隊員が”虎の巻”

5/11(木) 10:19配信

qBiz 西日本新聞経済電子版

開業に必要な法令、手続きを分かりやすく

 農村に滞在して農業体験を楽しむ「農家民宿」を広めようと、熊本県多良木町の地域おこし協力隊員宗像星磨(せいま)さん(23)が冊子「農家民宿開業の手引き」を作成した。手引きが「指南書」となり、町内では5軒が開業や開業準備を進めているほか、他の自治体にも動きが広がっている。宗像さんは「人や自然、食の魅力を農家と一緒に発信したい」と意気込む。

 「建築関係の法律なんて知らなかった。とても分かりやすい」。同町久米で今月15日、「農家民宿とよのあかり」をオープンする農業山並勝志さん(61)、孝子さん(62)夫妻は頬を緩めた。自宅敷地にある空き家の活用を検討していたころ冊子を知り、宗像さんの助言を得ながら準備を進めてきた。宿泊者には野菜やハーブの収穫を体験してもらう。

 宗像さんは鹿児島県霧島市出身。東洋大社会学部3年のころ、グリーンツーリズムの調査研究で初めて人吉球磨地域を訪れた。「豊かな自然、あふれる人情…。田舎の生活に魅了された」。内定先の鹿児島市の商社を断り、昨年5月に多良木町の協力隊に着任。「農家の暮らしを体感してこそ、農村の魅力が分かる」。冊子の作成に取り組んだ。

 農家民宿には旅館業法や食品衛生法に基づく営業許可など手続きが多岐にわたる。熊本県に手引書はなく、宗像さんは鹿児島県のマニュアルを参考に作成。熊本県の出先機関や消防、保健所などに素案を示し「お墨付き」を得ていった。関係法令などをイラスト付きで解説したほか、部屋の平面図の記入例はパソコンに不慣れな人を想定して手書きで紹介した。

 町内では1月、1軒が開業し、槻木(つきぎ)地区でも準備が進む。菊池市や山都町なども冊子を参考に農家民宿の普及を目指している。

 「農家民宿は、都市住民に農村に関心を持ってもらう入り口。一軒でも多く開業してもらい、農家の担い手不足の解消や自立につなげたい」と宗像さん。多良木町に移り住み、町の魅力づくりを手助けする協力隊の視点から、地域に新風を送り込んでいる。

 冊子はA4判、30ページ。多良木町役場で無料配布しているほか、町ホームページからもダウンロードできる。町企画観光課=0966(42)1257。

西日本新聞社