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何と65万円!最強DAP、AK380のボディ違い3機を徹底比較・3

5/11(木) 22:52配信

Stereo Sound ONLINE

 音楽とオーディオをこよなく愛するライター・伊藤隆剛さんによる、アステル&ケルンのDAP(デジタル・オーディオ・プレーヤー)「AK380 Stainless Steel Package」レビュー。このページでは最終回をお届けする。(Stereo Sound ONLINE編集部)



●デヴィッド・ボウイ「Sue(or in a season of crime)」
(アルバム『★』より。96kHz/24bit/FLAC)

 ノーマルのAK380で聴いても、その情報量の多さ、分解能の高さは明白だが、ぱっと聴く限りではそれよりも広々とした音場感やリズムの歯切れの良さに耳を持っていかれる。帯域バランスはフラットながら中低域にしっかりとした厚みがあり、エッジーにならない柔らかな聴き心地が好印象だ。

 先ほどの手嶌葵の曲では温かみのある音調が印象に残ったAK380 Copperは、この曲では落ち着いた中にもスピード感を備えた力強さに驚かされる。複雑に組み上げられたリズムセクションがヴォーカルの背後に屹立し、それを支える超低域の厚みと質感も十分だ。高域を飛び交うシンバルやサウンドエフェクトはいずれも機敏で精彩だが、アンサンブルの中心にあるヴォーカルを聴きづらくするようなことはない。

 AK380 SSでは、この曲の情報量の多さが目一杯引き出される。細かな音のひとつひとつを、顕微鏡を覗き込むように聴き取ることができる。特にシンバルなど金物系の伸びやかな再現は痛快で、前の2モデルでは聴こえなかった音がたくさん聴こえて賑やかだ。フォーカス感が高く分析的であるいっぽう、エネルギー感に満ちており、ノーマルのAK380に比べて明るく元気な印象だ。

●小沢健二「神秘的」
(CDシングル『流動体について』をリッピング。44.1/16bit/WAV)

 AK380はCDリッピングの音源もすこぶる良い音で聴かせてくれるのだが、この曲でもアコースティックギターのボディ感や低音弦の太さ、ストリングスセクションのしなやかな動きがていねいに描き出される。アンプを外してみると、一人多重録音によるコーラスがすっきりして混濁感がなくなるなど、むしろ好ましい変化がいくつか感じられた。

 AK380 Copperでは、この曲の肝であるストリングスセクションの旨味が最大限に引き出される。十分な温かみを帯びながらもモコモコしたところがなく、生演奏ならではの躍動感を細部まで聴かせてくれる。厚みのあるコーラスとストリングス、そしてギターの音色がほどよく溶け合って一体感は十分ながら、よく聴くとヴァイオリンやチェロの瑞々しい光沢感、ギターの低音弦の深みなども几帳面に描き分けられている。

 AK380 SSでは、ゾクゾクするほどの透明度の高さで各パートをくっきりと浮き彫りにする。Copperよりも硬質で分析的ではあるものの、ストリングスのピチカートが小気味よく、アコースティックギターのアタック感なども十分なので、素っ気ない印象はない。デヴィッド・ボウイを聴いた時と同じく音圧が高く、ところによっては先述のギターのアタック感が打楽器のそれに近いほどエネルギー感が高まる。もう少しまろやかさが欲しい気はするが、SS素材を採用するこのモデルの特徴がとてもよく表れている。

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最終更新:5/11(木) 22:52
Stereo Sound ONLINE

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