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韓国大統領に文在寅氏、安倍首相「戦略的利益を共有する最も重要な隣国」

5/11(木) 14:43配信

日刊工業新聞電子版

経済界、政治・経済の安定求める

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領の罷免に伴う大統領選は、革新系最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補が勝利し10日、大統領に就任した。核開発を繰り返す北朝鮮への対応が最大の争点になったが、通商・経済に目を転じると、韓国は輸出の対国内総生産(GDP)比率が4―5割と高い貿易立国だけに、大口の輸出先である中国や米国、日本などといかに安定した関係を構築できるかが課題となる。

 中国との関係をめぐっては、2016年夏に北朝鮮の弾道ミサイル対策として米国主導の高高度防衛ミサイル(THAAD)を韓国内に配備することを決めて以降、急速に冷え込んでいる。中国は報復として中国人の韓国への渡航自粛や韓国製品の不買運動を水面下で働きかけており、韓国自動車メーカーの中国での乗用車販売シェアは、17年1―3月期に4・6%と、前年同期の6・5%から低下。一方、日系メーカーは17年1―3月期に16・2%と、前年同期の13・8%から増加しており、韓国メーカーの落ち込みが際立つ。

 韓国の輸出に占める中国の割合は約4分の1を占め、対中輸出の好不調は韓国の輸出全体を左右する。日本総合研究所の向山英彦上席主任研究員は、「現在のところ韓国の対中輸出の7割が中間財であり、雰囲気に流されやすい消費財に比べて政治の影響は受けにくい」と指摘するが、中国との関係悪化が長引くと、じわじわと韓国経済をむしばむことになりかねない。

 また安全保障で依存する米国との貿易関係も、いかに安定化させるかが課題だ。トランプ米大統領は選挙中から、12年に発効した韓米自由貿易協定(FTA)を批判していた。就任後の17年3月に発表した「2017年通商政策アジェンダ」では、11―16年に米国は韓国へのモノの輸出が12億ドル(約1300億円)減る一方、韓国からの輸入が130億ドル(約1兆4000億円)以上増えたと指摘。対韓貿易赤字の是正を訴えている。米国からの資源の輸入を増やすことで対応するとみられているが、早急に対策を練る必要がある。

 さらに日本との関係修復も喫緊の課題だ。慰安婦問題をめぐるあつれきから日本政府は1月に駐韓国大使を召還する異例の策を講じた。駐韓大使は4月に帰任したものの、根本的な関係の改善は図られていない。

 日本と韓国の貿易関係は中国と同様に中間財が多く、日本の企業関係者は「政治関係は経済にさほど影響しない」と冷静だが、両国関係は良いにこしたことはない。日中韓のFTA交渉を前進させるには良好な政治関係が大前提になる。

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