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「推理小説と言えば日本」ハリポタ原作者上回る 中国、「名探偵」はご法度?

西日本新聞 5/11(木) 10:41配信

 北京の書店に行くと、日本人作家の小説の中国語版を見掛ける。川端康成から渡辺淳一、村上春樹までジャンルは多岐にわたるが、目立つのが推理小説だ。

 1番人気は東野圭吾。売り上げはハリー・ポッター原作者のJ・K・ローリングを上回り「中国で最も稼ぐ外国人作家」なのだとか。直木賞を受賞した「嫌疑人X的献身」(容疑者Xの献身)は今春、映画化された。「昔は松本清張が人気でした。推理小説と言えば日本です」と知人は話す。

 “国産”はどうか。中国人作家と交流し、評論などを執筆する北京在住の中国ミステリー愛好家、阿井幸作さん(32)に聞いた。

 中国の推理小説の萌芽(ほうが)は100年ほど前。日本と同様、欧米作品の影響を受け「中国版シャーロック・ホームズ」も登場した。新中国の建国後は正義感あふれる警察官、共産党員が対立する国民党や米国の陰謀を暴いたり、文化大革命での冤罪(えんざい)を晴らしたりといった内容が多くなったという。

 海外の影響を受け、近年の作品は多種多彩だが、表現を巡るせめぎ合いは続く。党見解と異なる真相はご法度。警察官が真犯人というのもあまり良くないらしい。中国で私立探偵業は違法であることから、業界では「探偵ものはシリーズ化しやすいが、発禁になるかも」と心配する声も。「作家は政治を分かっていなければいけない」とは、あるミステリー作家の言葉だ。

 「タブーが中国ミステリーの発展を阻害するのか、工夫して折り合いを付けていくのか注目です」と阿井さん。大陸ならではの謎解きを楽しむために、紙上の名探偵ぐらい認めていただきたい。

西日本新聞社

最終更新:5/11(木) 11:13

西日本新聞