ここから本文です

愛犬にビーフストロガノフ ペットフードは様変わり

ウォール・ストリート・ジャーナル 5/11(木) 13:37配信

 米食品大手マースは、ウエットタイプのドッグフードの新商品に重要な目標を定めた。ドッグフードのように見えない製品にすることだ。

 ペットフードの売上高で世界最大手の同社は2015年、よくある茶色っぽいマッシュ状の製品ではなく、鍋で蒸し焼きにしたポットローストだと見て分かる肉と春野菜のメニューや、ビーフストロガノフ、ミートラザニアなどを、「シーザー」ブランドの「ホーム・デライツ」シリーズとして全米で本格展開した。

 ペットの飼い主から、愛犬に毎日同じ食べ物を与えることに後ろめたさを感じ、自分の食事と同じようなペットフードが欲しいといった声が届いていたからだ。マースのペットケア製品の北米責任者は「見た目も匂いもまさに人間の食べ物のようでありながらペットにふさわしい栄養バランスの料理を提供することが大切だ」と言う。

 それから2年経ち、ホーム・デライツの年間売上高は1億ドル(約113億円)に達した。この製品は、マースやスイスのネスレが生み出している、人間の食べ物の傾向を採り入れたさまざまなペットフードの一つだ。750億ドル規模の世界ペットフード市場で、両社のシェアは合わせて48%に達する。調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、昨年の北米でのペットフードの販売数量は0.8%減少したが、高級フードの売れ行きが好調だったため売上高は4%増加した。

 ネスレのマーク・シュナイダー最高経営責任者(CEO)は2月、「自分の栄養状態を良好に保つために支出を増やしている人々は、ペットにも同じことをしたいと考えている」と話している。

 ユーロモニターによると、先進国のペットオーナーは、晩婚化、世帯人数の減少、離婚率の上昇などから、飼っている犬や猫との感情的な結びつきを一層強めている。米ペット用品協会(APPA)によると、16年には米国でペットを飼っている8460万世帯がペットフードに支出した金額は282億ドルと、前年に比べ23%増加した。1世帯当たり333ドルだったことになる。

 ネスレのピュリナ部門の缶入りペットフード、「ファンシーフィースト」ブランドの「メドレーズ」シリーズは昨年発売され、ニンジン、トマト、ホウレンソウなどが切った形のまま入っている猫向けのパテなどもある。価格は1缶0.85ドル。普通のファンシーフィースト製品は1缶0.20ドル安い。

 ピュリナのシェフ、アマンダ・ハスナー氏は以前、有名レストランで働いていた。ファンシーフィーストの開発チームは同氏のワークショップを参考に、猫の色覚が人間ほどではないにもかかわらず、猫向けパテの新製品に3つの色を採り入れることを決めた。

 ピュリナの研究開発担当副社長、ダン・スミス氏は「食料品店でカートを押して買い物をするのは犬や猫ではなく、買い主だ」と述べた。

 ペットとのつながりを求める人が増えるにつれ、ペットフードの売上高も増えている。「オールナチュラル」や「グレインフリー(穀物不使用)」と表示された高価格のペットフードは、より健康的だと受け止められ、一般の製品に比べ急速に成長している。

 フロリダ大学獣医学部のリチャード・ヒル教授は、消費者は栄養よりも原材料に注目しているが、栄養素の源はペットの健康にとって違いがないことが多いと指摘している。

 サスケハナ・ファイナンシャル・グループのデータによると、米ペットフード市場におけるナチュラル製品のシェアは11年の11%から15年には18%に上昇した。この間、一般のペットフード製品のシェアは74%から67%に低下した。

 マースは14年、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)から「アイムス」、「ナチュラ」などのブランドを29億ドルで買収。ネスレは15年、ナチュラルおよびオーガニック(有機)ペットフードメーカーのメリックペットケアを買収した。JMスマッカーは同年、犬用「ミルクボーン」や猫用「ミャオミックス」などを抱えるビッグ・ハート・ペット・ブランズを買収した。

 ナチュラルペットフードメーカーのブルーバッファロー・ペット・プロダクツは15年の新規株式公開(IPO)時の書類で、ペットの「人間化」の傾向はプレミアム製品販売とペットフードの売り上げ増の重要な推進力だと述べていた。同社の16年の売上高は12%増と、ネスレのペットケア製品売上高が5.3%増だったのに比べ2倍を超えるペースで伸びた。

 マースのマーケティングディレクターは、家庭料理のイメージを呼び起こそうと、ホーム・デライツシリーズの製品を陶器に入れて撮影した写真を広告に使うことにした。「今のウェットドッグフードは大きく変化したことを表現したかった」。

By Saabira Chaudhuri

最終更新:5/11(木) 13:55

ウォール・ストリート・ジャーナル